SIビジネスを主要事業とするITベンダー各社は今、業績面では絶好調だ。だが、編集委員の木村岳史はITproのコラム「極言暴論」など通じて、「SIビジネスの余命はあと数年」と主張する。「何をバカなことを言っているのか」と呆れる読者もいるが、実は木村の暴論に“激しく同意”するのが、意外にも大手ITベンダーの経営幹部らだ。

 確かに今は、大企業の基幹系システムの刷新など大きなSI案件がいくつもある。だが、その先があるのか。例えば、COBOLベースのシステムの大半をバッサリ廃棄し、アドオンをほとんど作らずERP(統合基幹業務システム)に乗り換えたとか、数千本のアドオンを全廃してERPを刷新したとか、ERP刷新を機にクラウド活用に踏み切ったとかいった事例が多数出てきている。

 こうした刷新プロジェクトをITベンダーが受注すれば金額的に大きな案件だが、アドオンの減少、クラウドへの移行によってシステムの保守運用業務は大幅に失われる。そして、基幹系システムの次の大規模刷新は全く期待できない。大手ITベンダーの経営幹部の危機感はここにある。好況で案件はいくらでもあるが、その案件の多くがSIや関連ITサービスの終焉を暗示しているわけだ。

 今回登場するTISは、SIなどのITサービス専業企業の中でも親会社を持たない独立系ゆえに、経営幹部はそうした危機感を最も強く抱いている。従って、SIなどの人月商売から脱却を目指し、新規事業の育成にも力が入る。そのカギとなるのはもちろん、新規事業を他社と「共」に「創」る共創の取り組み。ただし、TISが選んだ共創のイチオシ事例は、これまでに登場したNECやNTTデータのような顧客企業ではない。ベンチャー企業である。

 この「共創」十番勝負では、大手ITベンダーに共創のイチオシ事例を自ら選んでもらうことにしている。その事例がなぜイチオシなのかを、新規事業担当役員に説明してもらうことで、そのITベンダーの共創や新規事業に対するスタンスも浮き彫りにすることを狙っている。今回、TISに対して取材依頼をした際、同社の広報から「ベンチャー企業との共創で複数の事例がある」とのことだった。

 ただ、あくまでもイチオシ事例として取り上げるのは1件のみだ。そう伝えると「ベンチャーとの共創の仕組みとその狙い・問題意識を紹介したい」と言う。エース級の技術者を現場のプロジェクトから引っこ抜き、ベンチャー企業の経営者と“お見合い”させて、そのベンチャー企業に1年、場合によってはそれ以上の期間、出向させる制度とのことなので、TISのオファーに乗って話を聞いてみることにした。

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