「全く買われたことのない新商品でも、売れ行きを予測してお薦めする」。ECサイトなどの利用者へ商品を推薦する基盤ソフト「レコメンドエンジン」が進化している。商品の購買やサイトの閲覧といった履歴データを基にお薦めするのが従来技術。同技術の大手、サイジニアはこの常識を壊し、履歴データの蓄積がない商品でも画像だけで商品の推薦を可能にした。

北海道大学大学院で複雑系工学講座の助教授を務め、工学博士号を持つ吉井CEO
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 「暖気運転なしでアクセルを吹かせられるようなものだ」。サイジニアの吉井伸一郎CEO(最高経営責任者)は、新開発した行動解析技術「Deep Mining(ディープマイニング)」をこう表現する。同技術をサイジニアのレコメンドエンジンである「デクワス」に搭載し、2016年夏から提供を始めた。

 ディープマイニングとは、ディープラーニング(深層学習)とデータマイニングを組み合わせた同社の造語だ。同技術を使ったレコメンドエンジンでは、サイジニアがこれまでデクワスを提供してきたECサイトで蓄積した数億件の商品に関するレコメンド結果を分析。結果を基に、「新たな商品の売れ行きを、ECサイトの訪問者一人ひとりについてリアルタイムに予測する」(吉井CEO)。

 商品の外観や商品名、価格、商品を掲載しているWebページの閲覧回数、売れ行き、クリック率。取り扱うのは数値や文字、画像など、意味や形式が異なる「マルチモーダルな情報」(同)だ。

 同技術を組み込んだECサイトでは、これらのデータを1秒間に数十万回のペースで分析。訪問者が商品ページをクリックするつど、「訪問者の今の気持ちや購買意向を先読みして最適な商品をお薦めする」(吉井CEO)。結果として、同じ商品をクリックしても、次のページに表示するお薦め商品の構成は変わるという。同社が蓄積したレコメンド結果を利用しているため、販売実績データがない商品でも「お薦め」として表示することもある。

サイジニアのレコメンド技術の概要(出所:サイジニア)
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