欧州SAPのERP(統合基幹業務)パッケージのコンサルタントは国内に1万5000人以上いる。その中で、個人を対象にしたSAPジャパンの表彰制度「SAPマイスターIQ」の受賞者は、たった2人しかいない。そのうちの1人が、アクセンチュア テクノロジーコンサルティング本部 SAPビジネスインテグレーショングループでマネジング・ディレクターを務める栗花落(つゆり)一史氏である。

 「自分は積極的に、何かに挑戦するタイプではない」という栗花落氏。「新卒でITベンダーに入社し、その後転職をしても一貫してSAPのERPに携わってきた。与えられた仕事を着実にこなしながら、得意領域をじっくりと広げてきたことがSAPマイスターIQの受賞につながったのではないか」と振り返る。

写真●アクセンチュアの栗花落一史氏
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 栗花落氏は新卒で大手ITベンダーに就職した。「当時は就職氷河期。第一志望ではなかったものの、様々な企業にかかわれる点を重視してITベンダーを選んだ」と栗花落氏は話す。就職後に配属になったのは、SAPのERPパッケージのアドオンソフトを開発する部署だった。「この時に実際にコードを書いて開発する現場を経験した」。

 就職3年目に栗花落氏は転職を決意する。「より上流の経験をしたい」、「若いうちに苦労をしてみよう」と考え、コンサルティング会社であるアクセンチュアに転職した。プロジェクトの上流工程に携われるだけでなく、グローバルなプロジェクトにも携われることからアクセンチュアを選んだ。

 アクセンチュアに入社後、栗花落氏は10年以上にわたって同社でSAP ERPの導入プロジェクトに携わっている。

強みを核に隣接領域を広げていく

 一貫してSAP ERPの導入を担当する中で、栗花落氏はどのように自分を磨いているのだろうか。「新しい領域に踏み込む際には、自分が自信を持って戦える得意な領域を足掛かりに、そこからステップアップしていくようにしている」と栗花落氏は語る。

 新卒で入社した大手ITベンダーでは、会計関連のモジュールを担当していた。アクセンチュアへの転職後も、引き続きハイテク産業や消費財メーカー向けの会計関連システムの導入を支援している。会計分野のシステム構築の経験を数多く手掛けることで、財務会計モジュールの導入から、管理会計分野である業績管理業務を支援するシステムの構築を担当。さらにデータウエアハウスの導入や、SCM(サプライチェーンマネジメント)のシステム導入など、会計と隣接する分野のシステム導入の経験を積み、得意分野を広げていった。

 今後について栗花落氏は、「ERPは顧客の経営課題を解決するための道具。プロジェクト全体のサービスの一つがERPであり、導入効果を引き出せるようにプロジェクトを支援していきたい」と話す。

出典:日経SYSTEMS 2016年7月号 pp.69-70
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