質と量の充実したデータが、スマートなサービスのカギを握る――。米シリコンバレーの最先端ベンチャー企業のビジネス戦略だ。サンフランシスコを拠点に活動するVC、Scrum Venturesが2016年11月16日に開いた「Scrum Ventures CEO Summit」。同社の投資先企業6社が登壇した。事業の内容こそ違えど、共通するのは徹底したデータ第一主義を競争力の源泉とする姿勢だ。

 「現代社会でストレスは大きな問題。我々は常に大きなストレスにさらされているが、これまでは正確に測る術がなかった」。こう語るのは米Spire(スパイア)の共同創業者、Jonathan Palley氏だ。開発したのは呼吸の状態を測定するウエアラブル端末。内蔵したセンサーが利用者の呼吸を測定し、スマートフォンと連動して利用者の緊張状態をグラフで表示する。

「心の健康を保つことは人間の基本だ」と語るPalley氏
(撮影:新関 雅士、以下同)
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 「呼吸は生理的な兆候で、私たちの心理状態を表している。緊張していると速くなる。穏やかな時、集中しているとき、すべてパターンが違う」(同)。Spireの機器でつかんだ呼吸のパターンを基に、「利用者が緊張しているときに、深呼吸をするようアドバイスするなど、これまで測定されたことのないデータを使って利用者の心の健康を保てるようにする」(同)。

 Spireは現在、医療機関や大学などと共同で実証実験を推進中。同社端末を使った遠隔医療診断サービスも開発中だ。「日本は医療費の抑制が社会課題になっている。需要は大きいのではないか」。

トランプ当選で米国人の心労は?

 「興味深いデータを紹介しよう。ちょうど一週間前、米国で起きた“あるイベント”に関するものだ」。プレゼンの最後、Palley氏はこう切り出した。イベントとは米大統領選。投開票日に、Spire利用者のストレスがどう変化するか測定した。

Palley氏は「トランプ氏の当選が米国人を幸せにしたのか」と冗談交じりに語る
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 同社サービスの中心利用者は女性で、結果としてヒラリー・クリントン氏の支持層が多かったという。果たして、ストレスレベルはドナルド・トランプ氏が優勢になるにつれて上昇。「トランプが当選したからといって、米国人の全てがハッピーになったわけではないということが、データからも分かった」。Palley氏はこう語って、聴衆の笑いを誘った。

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