インダストリー4.0への関心の高まりもあり、2015年に大きくブレークした「IoT(Internet of Things)」。企業の中にIoT専門部署が発足するケースが相次いでいる。このような動きを受けて通信事業者もIoTビジネスに本腰を入れ、手軽にIoTを試せる環境が訪れてきた。6社の先行事例を分析しながら、IoTビジネスの成功への道を探る。

実例3:大阪ガス
通信コストゼロでメンテナンス効率化を実現

 大阪ガスが2016年4月から販売開始した家庭用給湯器+燃料電池「エネファームtype S」もプロダクトIoT分野の実例だ。家庭内の無線LANルーターを使って機器のログデータをアップ。メンテナンス業務担当者が現場に行く前に故障原因を特定できる仕組みだ(図6)。

図6●製品をIoT化しメンテナンス業務を効率化
大阪ガスの家庭向け蓄電池+給湯器「エネファーム」の実例だ。ユーザー宅内の無線LAN環境を活用することで通信コストを抑え、効果を生みやすくした。
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 狙いは「メンテナンス業務の効率化」(大阪ガス リビング事業部 商品技術開発部 スマート技術開発チームネットワーク対応技術グループの八木政彦チーフ)。エネファームは複雑な構成であり、メンテナンス業務の負荷増大が課題となっていた。しかも同社はエネファームを10年間、故障修理対応無料として販売している。以前からIoT化で遠隔監視することを検討していたが、「PHSや3Gを使うと月300円程度、年間3600円もの通信費がかかる。ありえない」(八木チーフ)と断念していた。

 今回、IoT化を実現できた最大の理由は、家庭内の無線LANを活用したこと。同社の持ち出し分の通信費はゼロである。さらにサーバー類もAWS(Amazon Web Services)を活用し、全体で月額十数万円のコスト増に抑えた。

 大阪ガスの場合、業務用ではなくBtoC分野の取り組みであるため、法人ユーザーほどLANを利用することへのセキュリティの懸念は少ない。また同社はガスというサービスを販売しているため、製品売りからサービス売りの壁もクリアしやすいとみられる。

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