人手不足が最も深刻なのが、「出荷・配送」の工程。ここでもロボットに期待がかかる。最寄りの物流拠点から顧客の玄関先までの“ラストワンマイル”を、ドローン(小型無人飛行機)やロボットカーで無人配送する取り組みが始まる。


 楽天は2016年5月9日、ドローンを使った配送サービス「そら楽」の提供を開始した。専用のスマホアプリで商品を注文し、受け取り場所も指定する。顧客が受け取り場所に向かっている間に、ドローンの飛行状態や到着予定時刻などが専用スマホアプリに通知される。

 受け取り場所には、直径5mの円を描いたビニールシートが敷いてある。ドローンは、この円を画像認識して着陸地点と識別する。上空10mほどの位置でホバリングすると、そのまま垂直下降して着陸する仕組みだ。

ドローンが着陸時に画像認識している直径5mのマーク
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 着陸後はいったんプロペラを停止させ、本体の中央部にセットされた荷物を自動的に切り離す。その後、再びプロペラを回し始め、荷物だけを残して飛び去っていく。

 ドローンの飛行経路をあらかじめプログラミングし、自動運転させる。機体に装備した各種センサーで、現在の位置情報や機体の傾き情報などをリアルタイムに収集。プログラミングされたルートから外れないように、自律制御しているのだ。

課題は飛行の信頼と安全の確保

 とはいえ、飛行中のドローンの落下を完全に回避するのは難しい。落下すれば、人間や自動車、建物などと衝突して大事故につながる恐れがある。信頼性や安全性を重視する楽天は、そら楽の提供エリアをゴルフ場や山間部など人や建物がほとんどないエリアに限定している。

楽天が2016年5月に開始したドローン宅配サービス「そら楽」のゴルフ場での利用例
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 一方、高層マンションやショッピングセンターが立ち並ぶ居住区で、ドローンを活用しようとする動きもある。千葉市が幕張新都心を中心としたエリアで進めている実証実験だ。ドローンベンチャーの自立制御システム研究所(千葉市)やイオンリテール、佐川急便、三井不動産レジデンシャルなどと分科会を組織。最寄りの物流拠点からドローンを飛ばし、マンションのベランダに直接、荷物を届ける方法を検討する。

 千葉市があえて人が多いエリアで実証実験を進めるのは、物流拠点から顧客の玄関先までの“ラストワンマイル”に配送のムダが生じているからだ。例えば幕張新都心には多数の高層マンションがあるが、同じマンションに複数の配送先があると、宅配便のドライバーはマンションの入り口からそれぞれの配送先を呼び出し、荷物を運び入れる作業を何度も繰り返さなくてはいけない。

千葉市は居住区域内のマンションやショッピングセンターで実証実験を行う
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 そこでドローンを使って、地上の荷物を配送先のベランダに設置された「ドローンポート」に届ける。実証実験では、ドローンの安全性を確保するための法改正や、航空管制システムのような技術、仕組みなどを検討。2019年度までに実用化する目標を掲げる。

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