脱・格安スマホを目指すMVNOの間で、昨今、急速に注目を集めているゼロレーティング。特定のアプリケーションのパケット通信量をカウントしないことで、ユーザーに対して魅力的なサービスを提供できる。MVNOにとっても価格競争を回避する大きな鉱脈となる。

 その一方でゼロレーティングには、(1)消費者問題への懸念、(2)「通信の秘密」の懸念、(3)ネット中立性の懸念という、3つの懸念がある(図1)。

写真1●ゼロレーティングの3つの懸念(出所:日経コミュニケーション2016年11月号特集「ついにフルMVNO誕生」)
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 まず(1)の消費者問題の懸念に触れよう。連載の第1回や第3回で紹介してきたように、ゼロレーティングの実現にあたっては、パケット通信量をカウントしないアプリケーションを必要十分条件で特定することが本質的に難しい。アプリケーションは単独のサーバーで動作しているケースは少なく、様々な外部のサービスと連携して動作していることも多い。これらを正確に特定できなければ、場合によってはパケット通信量がカウントされてしまうケースもあるだろう。そうなれば、深刻な消費者問題につながりかねない。

 特にサードパーティー製のアプリケーションのゼロレーティングの対象とする場合、本連載でも指摘したようにアプリケーションの更新による挙動の変化に対応し続けなければならない。これらの対応を怠る事業者が出てきた場合、とたんに業界に問題が拡がる恐れもある。

通信の秘密の侵害を避けるには「個別」かつ「明確」な同意が必要

 続く(2)「通信の秘密」の懸念は、ゼロレーティングを実現する際に導入することが多いDPI(Deep Packet Inspection)の利用が、電気通信事業法第4条で定められた「通信の秘密」に抵触する行為となる点である。

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