受け入れテストで不具合が相次いで見つかり、利用部門の担当者から「すべての問題を早急に解決するように」と求められたことはないだろうか。このとき、利用部門の担当者は、言葉通りすべての問題の早急な解決を望んでいるとは限らない。問題が噴出したことに動揺して口に出ることも多い。

 こうした場合、問題解決の優先順位を付けることが不可欠である。この優先順位を認めてもらうには、まず判断基準を共有することが重要だ。判断基準の認識がそろえば、問題解決の優先順位に対する納得感が高まり、説得が成功しやすくなる。TISの池田天兵さん(金融第2事業本部 フィナンシャル第2事業部 フィナンシャル基盤ソリューション第2部 主査)の事例を見てみよう。

「緊急度」を判断基準に提案

 池田さんは金融機関A社の帳票システムを構築するプロジェクトでマネジャーを務め、2012年秋に稼働させた。稼働後はそのまま同システムの運用サービスのリーダーに就任した。それからまもなく、A社の担当者に呼び出され、「問題が噴出している。どうなっているんだ。早急に何とかしてくれ」と強く求められた。

 ユーザーが一覧表で提示してきた問題の件数は数十件。一斉に対応するのはとても無理な数だった。

 しかし表に記載された問題を詳しく確認すると、緊急度がばらついていた。「以前、別のITベンダーが提供していたサービスでは午前中に届いていた帳票が、池田さんらが担当し始めてから午後に届くようになったため業務が停滞している」といった緊急度の高い問題がある一方、「操作性を改善してほしい」というような緊急度の低いものも含まれていた。

 そこで池田さんは「緊急度」という尺度で問題を分類。具体的には、「既存運用サービスに発生した問題は緊急度が高い、新規の運用サービスに対する問題は緊急度が低いとして二分し対応するのはいかがでしょうか?」とA社の担当者を説得し、合意を得た。問題を切り分けることで、緊急度が高い問題を全体の半分以下に絞り込めた。結果、それぞれの問題を解決する順番を決めやすくなった(図4)。

図4●緊急度で問題を分類し何を優先すべきかについて共通理解を得る
TISの池田天兵さんは、帳票システムの運用サービスを開始してまもなく、数十件の問題すべてについてユーザーから至急対応するように求められた。優先順位を付けることを了承してもらうため、「緊急度」という尺度で一緒に問題を分類することによって、何を優先すべきかについて共通理解を得た
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 これを生かして池田さんは、問題の優先順位、解決方法、具体的なスケジュールをA社の担当者に提示した。A社の担当者は池田さんの方針に納得し、一体で問題解決に当たることを約束した。

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