前回、自分はどのようなスキルを持っているのかを、スキルマップの全体像の中で分析する方法を紹介した。今回は、どのようなスキルを習得すべきかを考えていこう。

 IT現場では、「私はまだこのチームに入ったばかりでよく分かっていないので」と、遠慮して意見を出さない人を見かけることがある。こういう人はITエンジニアの成長を一本道として捉え、自分より経験のあるメンバーがいるときには、そちらが正しい答えを持っていると考えてしまうのだろう。

 しかし昨今は、技術も情報も多様かつ複雑になっている。誰か一人の意見よりも、多数の意見を合わせて検討するほうが、より正しい結論に至りやすい。チームのメンバーそれぞれの得意分野や持っている情報を尊重し、多様な意見を持ち寄って問題解決していくことが重要だ。

 チームにとっては多様性が必要だとしても、自分自身はどのようにスキルを身に付けていくとよいのだろうか。一つ一つのスキルの習得には時間がかかるので、次にどういうスキルを身に付けるかを決めるのは、とても重要であると同時に、難しい。

 今出来ていることをもっと深めるべきなのか、出来ていないことにチャレンジすべきなのか―。それを考える際も、スキルマップが使える。スキルマップを使ってチームのスキルや自分のスキルを分析し、その上で、どこに自分の時間を投資するのかを戦略的に決めていこう。

RPGになぞらえたスキルマップ属性

 そのために、スキルマップの各属性について解説する(図1)。筆者が提唱するスキルマップは、ロールプレイングゲーム(RPG)の職業のアイデアをヒントにして属性を分類している。もちろん、RPGに詳しくない人にも有用なので、ぜひ読み進めて欲しい。

図1●スキルマップの属性
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 前半の三つの属性、「戦士」「武闘家」「僧侶」は、仕事を持続的に進めていくためのスキルだ。戦士は仕事を終わらせるスキル、武闘家はそのための仕組みや設計を良くするスキル、僧侶は持続力を高めるためのスキルだ。この三つがあれば、仕事の完遂は問題ない。

 後半の三つ、「魔法使い」「盗賊」「旅芸人」は、リスクを取って仕事の改善を進めていくスキルである。魔法使いはより効率的に仕事を進める方法にチャレンジし、盗賊は社内外の情報を集め、旅芸人はすごしやすいチーム環境を作るために心を砕く。

 前半三つのどれかを極めた“職人気質型”、後半のスキルが高い“コミュ型”など、個人のスキルはさまざまな形があり得る(図2)。ITエンジニアの成長は決して一本道ではない。スペシャリストやゼネラリスト、すべてを持ったフルスタックエンジニアなど、さまざまだ。チームにとって必要なスキルを洗い出せば、一人一人はそれほど網羅的でもないし、逆に誰にでも活躍や貢献のチャンスがあることに気付くだろう。チームに対して貢献する道を考える上で、このシンプルな6分類をきっかけにしてほしい。

図2●職人気質型とコミュ型
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