ホンダはなぜなぜ分析の習得のため、品質担当者600人を対象に研修を実施してきた。演習課題を豊富に盛り込んだ独自のテキストを用意し、なぜなぜ分析の「型」を学ぶ。研修の結果、トラブルの報告書や普段のメールのやり取りで言葉使いが変わってきた。

 「なぜなぜ分析は分かりにくい」─。長年、なぜなぜ分析に取り組んできたホンダの現場からは、そんな声が上がっていた。

 ホンダは以前から、なぜなぜ分析を生産現場の課題解決に活用してきた実績がある。自動車業界ではトヨタグループをはじめとして、改善活動などになぜなぜ分析を利用することが一般化している。ホンダも例外ではないが、社内ではなぜなぜ分析の進め方が体系的に整理されていたわけではなかったので、現場の担当者にとっては「やり方が分かりにくい」のが実情だった。

 そこでホンダは2012年度からホンダ版なぜなぜ分析の体系化を始め、社員に大規模な研修を開始した。まず人事部グローバル人材開発センターの五百旗頭 肇シニアエキスパート(品質システム)ら数人が、マネジメント・ダイナミクスの小倉 仁志社長が講師を務めるなぜなぜ分析セミナーに参加。「なぜなぜ分析のコツを改めて習得したうえで、ホンダ独自のテキストにまとめた」(五百旗頭氏)。それを使い、2015年度までの4年間で合計600人の社員に研修を実施してきた。対象は国内工場で働く品質担当者だ。

ホンダが4年前から国内で実施している、なぜなぜ分析研修の様子
講師を務めるのは、人事部グローバル人材開発センターの五百旗頭 肇氏(ホワイトボード左側)。出所:ホンダ
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独自のテキストで「型」を覚える

 ホンダ版なぜなぜ分析のテキストは、80ページを超えるボリュームだ。演習課題をふんだんに盛り込み、グループワークに時間を割く。なかでも、過去にホンダで実際に起こった品質トラブルを題材にした演習は実感が湧きやすく、受講者に好評だという。

 研修で講師を務める五百旗頭氏は、なぜなぜ分析特有の「型」や「言葉使い」に強いこだわりを持っている。「ここを理解できると、担当者の分かりやすさがグッと上がると気づいた」(五百旗頭氏)。

なぜなぜ分析の「型」や「言葉使い」を研修で伝え、現場の理解を深める
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 代表例が上の図に示した、「~に気づかなかった」というなぜの展開である。これはなぜなぜ分析を体系化した小倉氏のノウハウでもある。

 トラブルの事象として「××がされていなかった」のなぜは「Aさんが××をしなかった」となるのは分かるとして、「Aさんは××していないことに(自分で)気づかなかった」「(上司や同僚などの第三者が)Aさんが××していないことに気づかなかった」というなぜは見落としがちだ。「~に気づかなかった」というなぜが必ず存在することをセットで覚えていれば、原因追究のプロセスに漏れがなくなる。

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