IoTを駆使して、「おもてなし」を一変した名古屋トヨペットの次世代店舗「三好店」。営業担当者の仕事もITで大きく変わりつつある。「買う気になった顧客」をタイムリーに発見するプロセスを見ていこう。

 三好店2階の商談コーナーなどでは、営業担当者が店舗刷新前の2015年8月から、タブレットで利用できる「SPM(セールス・プロセス・マネジメント)」を使って業務をこなしている。SPMにはトヨタの販売店管理のノウハウがぎっしり詰まっている。もともとはマニュアルボードにマグネットを貼り付けて管理していた顧客情報などを電子化したものだ。先に紹介したTDISと連動した受注済み顧客へのタイムリーな納期案内も、SPMの機能の1つである。SMSでの顧客への納期案内もSPMから操作できる。

「SPM」による見込み客管理について説明する、名古屋トヨペット三好店の岩内裕二店長。営業担当者ごとに「ヒット率」と「Hotな見込み客の人数」を掛け算し、受注見込みを算出。受注目標台数に対し、不足しているHot数を割り出す(上)。タブレットの「かんばんポスト」を見れば、SPMが備える見込み客管理や納期案内などを確認できる(左)
SPM:セールス・プロセス・マネジメント ヒット率:過去6カ月にHotから受注した割合 Hot:近く受注できそうな顧客(他にWarm、Coldがある)
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写真撮影:北山 宏一

 受注前の見込み客管理も、もう1つの重要な機能だ。顧客に対して今日実行すべき活動内容を一覧表示できる画面を「かんばんポスト」と呼ぶ。例えば、見込み客なら「査定」「引き継ぎあいさつ」といった項目が並び、実行するとかんばんが画面から消える。管理職には「フォローリスト」を用意し、営業担当者の作業遅れを見て行動を促す。

 見込み客管理の目玉は、その月の営業担当者ごとの受注目標台数に対し、「あと何件、Hot(近いうちに受注できそうな顧客)の数が不足しているか」を自動算出してくれる点だ。目標台数から現在までの受注実績を引いた不足台数を残された期間内に埋めるには、どれだけHotが足りていないかが一目で分かる。

 具体例を挙げよう。営業担当者のAさんは今月の受注目標が10台で、既に6台を受注済みだとする。あと4台で目標達成だ。そのためには、あと何件のHotが必要か。それを、過去6カ月間のAさんのHotからの受注割合である「ヒット率」から逆算する。新規および代替えの顧客で合計4人のHotがいるので、ヒット率が50%のAさんなら、あと2台は受注を見込めそうだ。それでもまだ2台足りない。その2台を獲得するには、Hotがあと4件足りないことが分かる。Aさんは岩内店長などと相談し、Hotの件数をもっと増やすか、ヒット率を上げる方策を練る。ちなみに三好店のヒット率の平均は約40%だ。

 目標達成に必要なのは、Hotに至っていない「Warm(査定や見積もりが済んだ顧客)」「Cold」といった見込み薄の顧客の“育成”や、ヒット率の増加だ。例えば、ヒット率を上げるには、顧客との接触頻度を上げなければならない。

 こうした数字を岩内店長ら管理職がタブレットから見て、Aさんに的確なアドバイスをする。外回りが多い営業担当者とは、チャットでやり取りすることも多い。

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