消費税が5%から8%に上がった2014年4月、イオン子会社で総合スーパー事業を担うイオンリテールが「イオンスマホ」を売り出した。米グーグルのスマートフォン(スマホ)と、MVNOである日本通信のSIMカードを組み合わせた商品だ。月々の端末代込みの維持費は2980円(税別)で、大手携帯電話会社の当時の料金水準に比べて半分以下。節約志向を強めた家族やシニア層などからの関心は高く、在庫8000台が1カ月で完売した。その後も後継商品を矢継ぎ早に投入して人気を集め、2016年2月には、いよいよMVNO事業に参入。「イオンモバイル」のブランド名で、SIMカードやスマホの販売を始めた。総合スーパーを全国展開しているイオンリテールがMVNO事業に乗り出した狙いは何か。同社の河野充宏・住居余暇商品企画本部 デジタル事業部 商品部長に聞いた。

(聞き手は高槻 芳=日経コンピュータ

 

2016年2月に始めたイオンモバイルの手ごたえは。

イオンリテールの河野充宏・住居余暇商品企画本部 デジタル事業部 商品部長
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 契約者数は当初の計画以上のペースで増えている。今春から携帯大手の端末販売価格が徐々に上がっており、格安スマホへの関心が高まってきた。背景には、政府による携帯電話料金の値下げ施策を受けて、「実質0円」の端末販売や高額の現金還元といった顧客獲得手法が下火になったことがある。そろそろ端末を買い替えようと携帯電話販売店を訪れた消費者は「以前とは様子が違う」と戸惑っていることだろう。

 契約する携帯電話会社を自由に選べる「SIMフリー」のスマホを調達しやすくなったことも追い風になっている。イオンスマホを始めた2014年頃は、数万台の発注を前提にメーカーと交渉するなど、自らリスクを取って端末価格を下げていた。今はその必要がない。中国の華為技術(ファーウェイ)や台湾の華碩電脳(エイスース)など海外の有力メーカーが、割安で高性能な端末を次々と日本市場に投入するので助かっている。

なぜ自社でMVNO事業を手掛けることになったのか。

 契約者からの要望やクレーム、端末修理などに迅速に対応できるようにするためだ。イオンスマホの時代から顧客サポートに力を入れてはいたが、当時は他のMVNOの販売代理店という立場。スマホに何か不具合があっても、原因が端末にあるのかアプリにあるのか、通信回線の問題かといった切り分けに時間と手間がかかっていた。自社でMVNOを手掛けていれば、顧客の回線と端末を一元管理でき、迅速に対処できるようになる。新たな料金プランを出すのも容易になった。

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