チャットサービス「QQ」が約9億人、対話サービス「微信(ウィーチャット)」が8億人を突破するなど、中国の巨大ネット企業として市場に君臨する騰訊控股(テンセント)。既に時価総額が2500億ドル(約26兆円)を上回り、その影響力を生かし、最近は金融事業にも注力している。

 そのテンセントで、インターネット・ファイナンス部門で事業責任者を務めるリン・タン戦略開発部門アシスタントジェネラルマネージャーだ。2016年9月に楽天グループが開いたイベント「Rakuten FinTech Conference 2016」に合わせて来日。同社がFinTechを武器に目指す金融の未来予想図について熱弁を振るった。

貸し出し審査に「人の輪」を活用

写真●テンセントで、インターネット・ファイナンス部門で事業責任者を務めるリン・タン戦略開発部門アシスタントジェネラルマネージャー
(撮影:渡辺 慎一郎)
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 「我々のビジネスの根幹にある考え方は、ヒトとヒト、ヒトとサービス、デバイスとヒトをつなぐ“コネクター”であり続けたいということ。その土台の上に、新しい金融の世界を築き上げていく」。タン氏は、テンセントが金融サービスに注力する理由をこう説明する。

 中国では個人向けの金融サービスが発達しておらず、多くの消費者が銀行から貸し出しを受けられなかったり、適切な形で資産運用したりできないという。その理由の一つが「信用を推し量る仕組みがなかったから」だとタン氏は分析する。そこでテンセントは、自社のメッセージングサービス上で交わされる膨大なデータから、ネット時代における新しい消費者の信用モデルを作り出そうと試みている。

 例えば現在提供している消費者向けローン「WeiLiDai」では、QQやウィーチャット上の利用者間のつながりを活用して審査している。中国人の必須サービスといえるQQやウィーチャットだけに、ある利用者がチャットサービスや対話サービスを使っていくと自然に「人の輪」ができあがっていく。つまり人の輪がないアカウントは偽物である可能性が高く、お金を貸し出すのにリスクがあると判断できる。

 その上で100%オンラインで完結するサービスを指向しており、審査に通れば5分以内に利用者に対して貸し出し希望額を支払うといった利便性も実現している。「金融イノベーションを詰め込むことで、新しいレンディングの姿を具現化した」(タン氏)と胸を張る。

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