某製造業の現役IT担当者が実体験を基に、新たなIT部門の在り方を提起する連載の第6回。たった一人で200台のサーバーを仮想化技術で統合し、「自分パッケージ」の導入で業務システムの開発もこなした著者だが、自分が担いきれない部分はITベンダーに委託していた。しかしIT部門の消滅もあり、「金の切れ目が縁の切れ目」の危機を迎える。

 一人で何でもやらざるを得ない状況だとしても、全部一人でやるのは無理だ。何でもかんでもベンダーに外部委託していた状態から、内製のほうがメリットあるものだけを徐々に内部に取り込んきたのが実情である。

 コストがかかったとしても外部委託が妥当と判断したものは、今後も外部委託を選択するつもりだ。例えば基幹システムは規模も大きく、お金の計算もしていることから品質や信頼性への要求も高いため、さすがに一人体制では手に負えるものではない。見た目を少し変える程度の改造なら可能かも知れないが、実際は契約などの問題から容易に手が出せないため、今のところ外部委託以外の選択肢はない。

 台数が多く問い合わせも多いPC端末サポートも、最近は多くのサービスがそろっているため外部委託が妥当である。インフラ構築時も特殊な機器は高度なつなぎのスキルが必要になるため、自分ではできない領域はITベンダーにお願いをしている。

 そのようなわけで、ひとり情シス、内製強化と言っても外部委託は欠かせない。むしろ一人だからこそITベンダーのサポートが欠かせないと言える。お世辞ではなく、ひとり情シスにとってITベンダーは非常に重要なパートナーである。自分ができない事をやってもらうのだから、当然こちらはお願いする立場である。

 世間ではITベンダーや所属するエンジニアは、顧客から無理難題を言われる存在であり、相当苦労していると聞く。「お前は他人のことを心配できる立場か」と言われそうであるが、私も前職ではベンダー側の立場で顧客の無理難題に悩まされた経験があるので、他人事とは思えない。「金を払ってるんだから、ITベンダーが無理難題を聞くのは当然」という考えもあるだろうが、ITベンダーとの良い関係こそが良いシステムの構築につながり、コスト削減にもつながる(図1)。

図1●一人で運営するにはベンダーのサポートが必要
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 私の場合、米国企業のように外部委託とパッケージと内製を適材適所でバランス良く適用することを目指している。ただ、外部委託の比率が高い状態から内製比率を上げるのは、一人という状況では容易なことではない。

 日本企業の多くで外部委託が異常に高いという状況のようだが、戦略的な領域や、素晴らしいアイデアが含まれる領域まで外部委託しているとしたら、受注したITベンダーはそのアイデアを頂いて他のユーザー企業で稼いでいるかもしれない。そういった企業競争力に影響するところは内製したほうがよいが、IT部門が衰退している企業から素晴らしいアイデアがそもそも出るのだろうか。

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