某製造業の現役IT担当者が実体験を基に、新たなIT部門の在り方を提起する連載の第2回。IT部門の消滅という“非常事態”に遭遇した著者は、なんとかIT部門を復活させようと奮闘を開始する。だが、上司に提出した提言は経営層には上がらず、トップダウンによる改革を求めるのは無理という厳しい現実を痛感する。精根尽き果て転職を考えた時、突然ある考えが頭をよぎった。

 IT部門が消滅した後、「ひとり情シス」として、その復活を目指し私なりに試行錯誤してきたが、常識的な範囲ではやり尽くした感があった。プライベート時間を削るなどかなりの労力を費やしたが、スタッフ部門に居候したことで、IT以外の仕事の現場を肌で感じることができた経験は、後にIT環境の立て直しを行う際に大いに役立つことになった。

 それまでは、ERP(統合基幹業務システム)を導入して、米国企業のようにトップダウンでIT統制を行うのが理想であると思っていたが、ビジネス現場の状況を肌で感じて、そんな簡単な話ではないことが分かった(図1)。おそらく他社も似たような状況であろう。後で説明するが、日本でERPがなかなか普及しないわけを理解できた気がした。

図1●米国企業と日本企業はシステムの在り方が違う
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 他の人ならIT部門を復活させようなどとは思わないかもしれない。私も何度も挫折しそうになった。しかしそれでもなお、IT部門の復活を諦めきれない。なぜだろう。会社のためではない。実は自分の居場所を探していたのかもしれない。居候ではなく、自分が必要とされる場所を、そしてエンジニアとして活躍できる場所を。

 だが、もっと早く気づいていれば無駄な労力を費やさなくて済んだのである。IT部門の復活に必死になっていたが、企業において一度決まった組織の形(部門構成や人の異動)は元に戻ることはない。もしIT部門の消滅後すぐにIT部門を復活させたとしたら、その決定に間違いがあったことを認めるようなものである。それは責任問題になりかねない。

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