米マイクロソフトは今年で創業41年、日本マイクロソフトも30周年を迎えた。この間のITの進化には目を見張るものがある。マイクロソフトといえば「Windowsの会社」という印象が強いが、過去にとらわれず“徹底した変革”の推進にチャレンジしている。ビジネスモデルを大転換し、ITの力でビジネスや人々の生活をより良い方向に変えていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の支援に軸足を移しつつある。クラウドやIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、機械学習など最新のテクノロジーをより戦略的に活用して、社員の意識を変え、働き方を変え、ビジネスを変革して革新的な製品やサービスを顧客と共に生み出していきたい。

自らが実践者となりDXを推進
顧客との協業が新たな価値を生む

 デジタルトランスフォーメーションに向けた活動の1つが、ワークスタイル変革の取り組みだ。これに関しては日本マイクロソフト自身が先駆的な実践者である。2011年2月、新宿から品川への本社移転を機に、いつでもどこでも快適に仕事ができる環境を整えた。社内はフリーアドレス化し、どこからでもネットワークにつながる。

 統合コミュニケーションツールのSkype for Businessによって情報共有も加速した。以前はミーティングを企画してから開催するまでに、関係者のスケジュール調整や場所の確保などで平均6日を要していたが、今はチャットなどを使って、すぐに会議を始められる。社外から社内のシステムにアクセスできるので、移動の合間に最寄りのカフェで資料を作成したり、遠隔から会議に参加することもできる。この結果、残業時間や旅費・交通費を削減できた。社員満足度や生産性も向上し、女性の離職率も下がった。

 この成果を顧客のワークスタイル変革に生かす取り組みも進めている。例えば、三井住友銀行はマイクロソフトのパブリッククラウドサービスなどを活用し、いつでもどこでも業務が可能な次世代ワークプレイス環境の構築に着手した。育児や介護で出勤が難しい社員に活躍の場を提供し、業務効率化や人材の有効活用を図る。

 変革を目指す企業との協業にも積極的だ。ソフトバンクロボティクスと共に進めるロボットのビジネス活用はその1つ。テレビCMなどでおなじみの人型ロボット「Pepper」の頭脳にAIや機械学習の技術を搭載し、人間味のある対応を可能にした。店舗を訪れるとPepperが挨拶し、会話をしながらお薦めの商品を紹介したりする。一方的な情報の押し付けではなく、双方向のやり取りの中で顧客の要望に応えていく。ビジネスインテリジェンス(BI)の機能を強化することで、在庫の最適化などバックヤード業務でもPepperの頭脳が威力を発揮する。

 日本航空が進める業務変革にもマイクロソフトの最新テクノロジーが生かされている。それがパイロットや整備士の訓練に使うゴーグル型ホログラフィックコンピュータ「Microsoft HoloLens(ホロレンズ)」である。ホロレンズを装着すると、目の前にコックピット空間や航空機エンジンが再現される。映像や音声ガイダンスに従って、リアルなシミュレーションが可能だ。訓練や学習がいつでもどこでも簡単に行えるようになる。

 トヨタ自動車とはコネクテッドカーの開発に取り組んでいる。自動車にインターネット通信機能を付加し、様々なデータを収集・分析することで、安全運転を支援したり生活を支援する便利なサービスを提供する。車両診断、渋滞緩和、危険予知なども可能になる。保険サービスへの活用による新たな市場創造も期待されている。

日本マイクロソフトの就業規則変更に伴うテレワーク勤務制度

人がより快適に働ける社会へ
「コグニティブ」が未来を開く

 これらの取り組みに加え「コグニティブサービス」によるイノベーション創出にも注力している。マイクロソフトの画像認識技術は認知精度が96.5%と、人の認知能力95%を上回る。

 会場でご覧いただいたビデオのように、マイクロソフトで働く全盲のエンジニアは、この技術を使って健常者と変わらない仕事をしている。コンピュータを内蔵した眼鏡を通し、その場にいる人の年齢や性別のほか、何をしているかといった動作まで、映像を分析した結果を情報として把握して伝えられるようになった。数人が参加するミーティングの場でも、彼は臆することなくディスカッションを重ねていく姿があった。

 マイクロソフトは最新のテクノロジーとサービスで人の働き方やビジネスの変革を支援し、成長戦略を支えるデジタルトランスフォーメーションの実現に貢献していきたい。