2016年3月に、三菱東京UFJ銀行による銀行APIを利用した国内初のハッカソン「Fintech Challenge 2016」が開催された。「より身近で便利なIT×金融のサービスづくり」がテーマだが、その目玉となるのは銀行API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)であった。今後、銀行から提供される可能性があるAPIを活用した新たなビジネスやサービスを探るため、ハッカソンというオープンな場で広くアイデアを募っていた。

 実際に銀行APIを開放し、新たなビジネスを展開している先進的な事例として、住信SBIネット銀行がある。同社は、残高情報や入出金履歴などを確認するAPIを限定的ながら開放している。マネーフォワードが、それらを活用した新たなサービスを作り出しており、ユーザーが利用している。これらはまさにFinTechの代表的事例であり、金融業界ではICTを活用した新たなビジネスモデルが生まれつつある状況を示している。

 倉庫業界においても同様にICTの活用が進んでいる。寺田倉庫では2012年に箱単位で荷物を預けられるサービス「minikura(ミニクラ)」を開始。1年後には、外部に向けて、倉庫に荷物を預ける、発送する、現状の荷物を確認するといったminikura機能のAPI提供を始めた。

寺田倉庫が提供する「minikura」のWebサイト
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 その結果、ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」など約20社との協業が進んだ。2015年に寺田倉庫は、minikuraAPIの提供に加えてベンチャー企業へ金銭的な支援をするインキュベーション事業を開始している。

 リアル(現実世界の倉庫)とICTを掛け合わせた仕組みとしての「RetailTech(リテールテック)」を作り出した寺田倉庫。1つのサービス提供をきっかけに、スピード感を保って事業拡大を続けているのだ。

xTechとは何か?

 FinTechやRetailTechの事例以外にも、あらゆる業界でICTの活用が進んでいる。これまでICTとは縁遠かった農業や法律などの業界も例外ではない。この特集では、こうした動きを掛け合わせるという意味を持たせた「xTech(クロステック)」と呼ぶ。

 以下に、xTechの一部を紹介する。

FinTech:Finance(金融)×Technology
 特に海外、銀行を中心にこの1~2年ほど盛り上がっている。APIの開示には個別の契約が必要な場合が多く、FinTech参加企業による金融エコノミーが構築されつつある。

RetailTech:Retail×Technology
 小売、物流などを主体とした流通に関する分野。物流業界は効率的な配送や再配達システムなど、元々高度なテクノロジーが使われている。さらにそのビッグデータを活用することで新しいサービスが生まれる可能性があり期待されている。

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