情報システムを開発あるいは用意する仕事を命じられたとして、その仕事の関係者は誰だろうか。ここで「用意する」とはパッケージソフトウエアやクラウドサービスを使うことである。

 関係者としてまず、情報システムを直接操作し、情報を入力したり出力したりする人がいる。社員、取引先の担当者、場合によっては顧客。次に情報システムを間接利用する人がいる。間接利用とは情報システムに蓄積された情報やその分析結果を見ること。企業の管理職あるいは経営者が該当する。

 間接利用する関係者は社外にもいる。法律や規制に基づく事業をしているなら監督官庁に所定の報告をしなければならない。株式を公開しているなら株主や証券取引所に業績やリスクに関する情報を伝える。報告ないし開示される情報はシステムから得られたものだ。

 情報や情報システムを利用する関係者に加え、情報システムを開発ないし用意する関係者がいる。情報システム部門の管理職、担当者、情報システム関連会社の経営者、管理職、担当者。実際のシステム開発を請け負うコンピュータメーカー、システムインテグレータ、ソフトハウスの管理職や担当者。パッケージやクラウドを提供するIT企業の管理職、担当者。担当者が海外にいて日本語が通じないこともある。

写真●「エンタープライズアーキテクチャ(EA)」を提唱したジョン・ザックマン氏
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 様々な立場の人が数多く関係するため、情報システムの開発や用意はなかなか厄介な仕事になる。どういうシステムにするかを決める、すなわち要件の定義が大事だと分かっていてもなかなか決められない。現場で定めた要件を上位の関係者がひっくり返す。現場が忙しくシステム部門の担当者が要件定義を肩代わりしたが出来上がってきたシステムを操作した現場の担当者が「使えない」と言い出し、システムインテグレータの担当者が作り直すはめになる。

 ある情報システムと別のシステムには関係があり、それがまた面倒である。あるシステムを作り直したところ別のシステムとつながらず思わぬトラブルが起きる。それを防ごうとすると、あるシステムの要件を定める際に別システムとの連携について考えなければならなくなる。別システムにはまた別の関係者がずらりといて調整に時間がかかる。

理想は情報システム群の全体を見渡せるようにすること

 関係者の一群と情報システムの一群が引き起こす混乱をなんとは抑えられないものか。理想は、企業が取り扱う情報とそれに関わる情報システム群の全体を見渡し、システム同士の関係や諸要件を整理しておくことだ。要件は関係者ごとに整理する。社長が見たい情報と現場が入出力する情報は異なる。

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