まず、結論から述べる。私は今回、iPhone 7の購入を見送るつもりだ。このコラムでは、過去の回想を交えながら、その決断に至った極めて個人的な雑感をお話させていただく。

 ただし、見送りを決めたのは、ロジカルな思考を展開する左脳の自分であって、ジキルとハイドではないが、右側の脳には、エモーショナルな自分も住みつき、この季節になると「新型iPhoneいいよね〜」とささやき続けることは誰よりも自分が知っている。というわけで、いつ何時心変わりするか分からない不安定なシーソー状態にあることは申し添えておきたい。

撮影のために久しぶりに引っ張り出した初代iPhoneの表と裏。電源を入れるとアップルマークは表示されるが、その先に進まずシャットダウンする。バッテリーがご臨終のようだ。写真は筆者撮影(以下同じ)
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 この季節、新型iPhoneの発表に接するたびに回想するのが、2007年の夏、初代iPhoneを手にしたときの高揚感だ。同年2月の発表、6月末の発売開始を経て、各種メディアでこの革新的な携帯電話に関する情報を世界のガジェット系メディアがあふれんばかりに伝えていたこともあり、筆者の頭の中を透視したらiPhone周りの情報でフル充電されているに違いない状態での初代iPhoneとの初対面だった。それでもなお、電源を入れアイコンが整然と並んだホームスクリーンが目に飛び込んできたときの感激は、筆舌に尽くしがたいものがあった。

 それから10年弱、今や秋の風物詩となった新作iPhoneの発表内容を振り返りつつその道のりを回想すると、進化の度合いを示す右肩上がりのグラフの角度が年々浅くなっているように感ずるのは、iPhoneという存在そのものに鈍感になった初代からのユーザーとしての身勝手な感覚なのだろうか。

A10 Fusionチップがなんぼのもんじゃい!

 一歩横にずれて技術的な視点に切り替えると、CPU、対応周波数、バッテリー持続時間、カメラの性能など、むしろグラフの角度は、ムーアの法則よろしく、以前より急角度で上昇しているに違いない。だから、右脳の自分が「進化してるんだぜ」とささやきかけるわけだが、iPhone 5sを何の不満もなくいまだ使い続け「そろそろ機種変しようかな。今ならiPhone 6sが安く買えるの?」と聞いてくる家族の言動からは、それが普通のユーザーの感覚だよね、という思いに至り、M10モーションコプロセッサがオンダイされた64ビットアーキテクチャー搭載A10 Fusionチップがなんぼのもんじゃいと、冷静になろうとするロジカルな自分とせめぎ合う。

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