ITサービス産業の技術者たちが新たにシステムインテグレーション(SI)ビジネスに取り込むべきと考えている技術は何か──。情報サービス産業協会(JISA)の調査「情報技術マップ」の2017年版によると、2017年度の「着手意向」上位5つの情報技術は、デザイン思考(前年7位)、ネットワーク仮想化技術(同4位)、コード自動生成ツール(同17位)、IPv6(31位)、データマイニング(同14位)となった(表1)。前年上位5位に入っていた情報技術の中で今年5位内に留まっているのはネットワーク仮想化技術だけというように、IT業界におけるテクノロジー変遷のスピードは速い。

表1●上位5情報技術の概要
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 一方、実際のSIビジネス現場で使われた「SI実績」上位5つの情報技術は、ウォーターフォール開発(前年3位)、商用DBMS(同1位)、Windows系サーバーOS(同2位)、集中型構成管理ツール(同5位)、PC向けクライアントOS(同4位)で上位5位の顔ぶれは3年連続で同じだ。

 次々と新しい情報技術が出てくるものの、SIビジネス現場では手慣れた、枯れた技術を優先するという日本のユーザー企業とITサービス業界の保守的な行動パターンが反映されていると見られる。信頼性と品質を重んじる日本企業の伝統に裏打ちされたものと察せられるが、既存ビジネスを破壊するデジタル時代の渦中に入りつつある現在、新技術採用に対するチャレンジ精神の発露が期待されている。こうした状況が、情報技術マップの2017年度版で浮き彫りとなった。

注目集める情報技術が上位に

 JISAの情報技術マップは、SIに関する要素技術の普及動向を過去から現在にわたって可視化する目的で実施されてきた。JISA正会員企業のPM(プロジェクトマネジャー)やプロジェクトリーダー、チームリーダーのほか、SEやプログラマーを対象に毎年実施されている。2017年度版の調査では40社1370人が11の技術カテゴリー(表2)、114の要素技術について回答した。

表2●要素技術の11カテゴリー
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 2017年度の傾向として、例年通りSI実績指数上位は変化が少なく、着手意向は注目を集めている情報技術が上位に登場する傾向となった。上位10位に限って見ると、SI実績でランク外からの上昇はJava(8位)、商用運用監視ツール(10位)の2つ。それぞれ前年の10位台からランクインした。毎年入れ替わりの大きい着手意向指数で1位はデザイン思考。デジタルビジネスにおいて新しいビジネスモデルをどのようにデザインしていくべきかという文脈から注目が集まっている。

 また3位のコード自動生成ツールは、人材不足を反映したものと見られる。4位のIPv6はIoTの進展との関連がうかがわれる。7位のIaaS環境を構築するために必要なソフトウエア、例えばVMware vCloud Suite、Eucalyptus、CloudStack、OpenStackなどのクラウド基盤ソフトウエアの上昇も大きい。それ以外では、セキュリティ関連技術のカテゴリーの中からサンドボックス(仮想化技術による保護領域)やSIEM(セキュリティイベント管理)の2つがランクインしており、依然としてセキュリティ分野に高い関心が集まっている。

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