持続的なインバウンド(訪日外国人)増はデジタルが頼り。会津観光に訪れた訪日客のあらゆるデータを蓄積・分析する――。こんな目的の下、会津でデジタルインバウンド戦略の基盤システムが動き出した。地域と官民、それぞれの壁を取り払った連携組織で、仮説・検証のサイクル作りに挑む。

会津若松地方の7市町村から担当者が集まった
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 「東京や京都と同じインバウンド誘致策では勝算がない。会津ならではのメッセージを打ち出せないか」。

 福島県喜多方市。8月中旬、市役所の会議室に、会津若松市、喜多方市、北塩原村など、会津地方の7市町村役場の担当者が集まって議論を交わしていた。

 議題は「デジタルDMOのプロモーション計画」。集まっていたのは会津デジタルDMOのメンバー(関連記事)だ。今年6月に発足した同組織の狙いである、訪日客に向けた観光振興の具体策を議論していた。

 「『3度目の日本なら会津』という方針で、メッセージを考えるのはどうでしょう」。メンバーの一人が提案した。初めて日本を訪れる外国人が、いきなり会津を選ぶというのは考えにくい。著名な観光地は一通り見て回り、「ちょっとディープでマニアックな日本を知りたいと思ったリピーターの外国人」を、主要なターゲットに据えてはどうか、という提案だ。

 会議はこの提案を採用。「3度目の日本なら会津」が、会津デジタルDMOにとっての合い言葉になった。同時にこのフレーズは、会津デジタルDMOの活動の方向性を決める仮説でもある。

「データを活用すれば地方にはまだまだチャンスがある」と語る本田氏
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 「会津のインバウンド戦略は全国に比べて遅れているかもしれないが、デジタルを使った観光振興では全国の先を行く」。自身も会津若松市生まれで、地方のブランド作りや産業活性化の支援事業を手掛ける本田勝之助氏は、こう力説する。

 地域の魅力を込めたキャッチフレーズを作り、ポスターやパンフレット、Webサイトでアピールする。こんなプロモーションなら、会津も実施してきた。今回の違いはデジタル、つまり実施した施策の実績をデジタルデータとして集めてクラウド上のデータベースに蓄積。内容を分析して、施策の効果を検証したり施策そのものを改善したりする。

会津デジタルDMOが整備した訪日客のデータ分析システム
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 収集・分析するデータは多岐にわたる。会津のWebサイトの閲覧履歴、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上の関連するクチコミ、地域に敷設した公衆無線LANで集めた行動履歴や、無線LANにつないだスマートフォンで閲覧したコンテンツの閲覧履歴、Webサイトなどを通じて集めるアンケートなどだ。

 今秋、具体策の第一弾が動き出す。7市町村の情報をまとめて調べたり閲覧したりできる、多言語版の情報ポータルWebサイトである。最大の特徴は、サイト閲覧者の属性や興味・関心事を推測して、表示するコンテンツを動的に変えることだ。ポータルサイトとしては当たり前の機能だが、自治体が運営する情報サイトとしては珍しい。

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