せっかくの観光資源も、知ってもらわなければ宝の持ち腐れ。会津がまず手を付けたのがネットを使った情報発信だ。台湾から人気のブログ著者を招いて観光体験会を実施。結果をブログ記事にして発信してもらう。日本よりはるかに強力な海外ネットクチコミの威力を頼みに、訪日客誘致の一歩を踏み出した。

なぎなたを体験する太太さん(右)とアスカさん(左)
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 「この衣装、かわいい!なぎなた初めて体験しました。漫画で読んだ通りの服装で、青春してる感じ」「芸者さんとのツーショット撮りました。女子としての悩みを打ち明け合って、とっても楽しかった」。

 8月半ば、楽しそうに写真を撮りながら会津の観光を楽しんでいるのは、台湾の女性たちだ。二泊三日で会津の代表的な観光地を巡り、地元の食事やお酒を体験したり観光スポットを訪れたりした。

バスガイドの案内でお手水を体験
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 彼女たちの「本職」は、台湾で人気を誇るブログ著者(ブロガー)。その一人、上田太太(うえだ たいたい)さんは、日本在住の台湾カリスマブロガーだ。日本全国の観光地や文化の体験記事を発信。Facebookページは14万人近いファンを持つ。もう一人のアスカさんは、台湾在住のバックパッカー。日本への一人旅の体験記を、たびたび発信している。

神社では神主の説明に熱心に聞き入っていた
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土産物屋を見るたびに買い物に興じていた
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 彼女たちを招いたのは会津地域のスマートシティ構想を担う「会津地域スマートシティ推進協議会」の下部組織で、ITやデジタル技術を使ったDMOプロジェクトを推進する部会(以下、会津デジタルDMO)だ。DMOとはDestination Management Organizationの略で、地域の資源を生かした観光振興を担う組織を指す。会津デジタルDMOは、会津地方の七つの市町村とアクセンチュアなどが組んで2016年6月に発足した。ITを活用して東日本大震災からの復興と地域の魅力向上を図るための組織である。

 同組織の主な活動目的の一つがインバウンド(訪日外国人)の誘致だ。デジタル技術を活用し、ネットでの情報発信や各種の履歴データの分析を推進。外国語に対応した受け入れ体制の整備や訪日外国人客の好みに応じた情報発信につなげる。

 なぜ今、会津がデジタルインバウンドに力を入れるのか。背景には、一見すると日本全国で盛り上がりを見せるインバウンド熱に取り残された、東北特有の事情がある。

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