重電メーカーの雄が、デジタル企業への転換に本気になっている。デジタル化を牽引するGEデジタルのスタッフは世界で2万8000人。米カリフォルニア州サンラモンには、ソフト開発者を中心に1500人を抱える。「シリコンバレーでの学びを世界の産業界にもたらす」と、米ゼネラル・エレクトリック(GE)でCDO(最高デジタル責任者) を務めるビル・ルー氏は語る。

(聞き手は中村 建助=日経コンピュータ


米ゼネラル・エレクトリック(GE) CDO(最高デジタル責任者) ビル・ルー 氏
(写真:村田 和聡)
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デジタルを成長ドライバーと位置付け、ソフトウエア重視の姿勢を鮮明にしています。

 時代が変わり、従来のアプローチが不十分になったのです。産業界の生産性の向上率がそれを象徴します。2000年代までは年平均4%でしたが2011年以降は1%に落ちました。

 複数の事象が同時並行で進んでおり、我々も顧客も、抜本的な変革が迫られていました。会長兼CEO(最高経営責任者)のジェフ・イメルトがそれに気づいたのは2010年ごろです。

 我々の産業部門の生産性が低下傾向にありました。他方でIT企業が我々の顧客に対して、設備の運用効率を高める施策として、アナリティクスの手法を用いたシステムの導入提案を盛んに進めていました。

 我々にとってビジネス的な脅威が顕在化しつつあったわけです。さらに産業界に大きなチャンスをもたらす、IoT(インターネット・オブ・シングズ)の潮流が押し寄せていました。我々はこれら全てにうまく対応する必要があったのです。

勝ち組はスピード重視

サンラモンの大規模なソフト拠点では、アジャイル開発やデザイン思考といったシリコンバレー流の手法を貪欲に取り込んでいます。

 ソフト事業では、才能ある人材と新しい技術がとても重要になります。その意味でシリコンバレーは、地球上で最も恵まれた場所でしょう。何より素晴らしいのは、今生まれつつあるテクノロジーを学べる点です。

 ただし、我々はシリコンバレーの会社に近づきたいのであって、シリコンバレーの会社そのものになりたいわけではありません。我々はグローバル企業ですから、シリコンバレーで得た学びを一度咀嚼し、世界の産業界でいかに活用できるかを検討して、実用化を目指す。これが基本的な姿勢です。

 そのための道具が「FastWorks」です。これはコンセプトであり、実際のプロセスでもあります。

 FastWorksはシリコンバレーの人たちに協力をあおぎながら共同開発しました。リーンスタートアップのメンタリティーをいかに大規模な製造業に組み込めるかを追究しています。FastWorksのプロセスを活用すれば、新製品や新しいビジネスモデルを、スピーディーに開発できます。

 シリコンバレーは、完璧さよりもスピードを優先する文化が浸透している。まずは8割の状態で事業を始め、顧客と話し合いながら完璧を目指すアプローチは、今の企業のあるべき姿でしょう。

 業種業界を問わず、世界の勝ち組企業は例外なくスピードに重きを置いています。逆に負け組とされる企業は完璧を求める傾向がある。少なくとも私はこう考えています。

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