電子行政分野の論客として知られる廉宗淳(ヨム・ジョンスン)氏に、ITproの人気コラム「極言暴論!」でおなじみの木村岳史が、外国人から見た日本の行政とITの問題点を聞く。第1回(韓国はIT先進国の日本を手本にした)では、1990年代に「IT先進国」だった日本が、2000年ごろに韓国に追いつかれたという事実が明らかになった。

 第2回では、廉氏が携わった佐賀市の基幹システム刷新プロジェクトを通じて、日本の地方自治体とITベンダーにある構造的な問題を明らかにする。

(構成は清嶋 直樹=日経コンピュータ

木村:廉さんは佐賀市の基幹システムオープン化プロジェクトに携わった。日本の県庁所在地の自治体が、基幹システムの構築を韓国のサムスンSDSに発注したことは大いに話題になった(関連記事:韓国勢がe-Japan商談でついに日本上陸 国内大手4社を敗退させた強さの秘密とは)。

イーコーポレーションドットジェーピー(e-CORPORATION.JP)代表取締役社長の廉宗淳(ヨム・ジョンスン)氏
(撮影:陶山 勉)
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:当時、佐賀市長だった木下さん(木下敏之氏=関連記事:木下敏之の「自治体を変えるヒント」)と私の私的な勉強会で知り合ったのがきっかけだ。一緒に韓国の電子行政事情を視察する機会もあった。そして、佐賀市の新システム構築業務支援コンサルティング事業者の競争入札に参加し、受託業者として基幹システムオープン化業務の支援をするようになった。

木村:それで佐賀市は韓国のシステムを理想とするようになったのか。

:そうではない。誤解のないように言っておくが、最初から韓国ありき、サムスンSDSありきだったわけでは決してない。

 私がオープン化に当たって出した基本方針は「システムの著作権を市が持つ」「地元企業に完全な技術移転を行う」「安く作る」の3原則だ。私なりに日本の自治体システムを調べた結果、この3原則を満たすのが理想だと考えるようになった。入札に参加した日本の大手ITベンダーはこの条件に賛同してくれなかったが、サムスンSDSは条件に前向きな提案をしてくれた。

 著作権が市にないとどうなるか。自治体システムで一般的な5年の契約期間ごとにシステムの更新をしなければならず、その都度まとまった予算が必要になる。5年たってもソフトウエアはそのまま使えるはずだが、著作権をITベンダーに握られていると、ソフト部分も含めてITベンダーに発注せざるを得ない。

 しかも、5年で他のITベンダーに乗り換えるとソフトを作り直すのに労力がかかる。現実には、最初に発注したITベンダーに発注し続けることが多い。これでは競争原理が働かず、コストは高止まりする。

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