今や企業におけるほぼ全ての業務は、情報システムなしでは遂行できない。システムに依存しているといってもよいだろう。ただ基本的には、ビジネスの「黒子」という位置付けだ。

 ところが、情報システムがむしろ主役になるケースがある。それは、企業の合併や組織の再編だ。システム統合が大きな意味を持つことになる。仮にシステム統合が予定した期間内で終了しなかったら、企業合併や組織再編の実質的な効果は期待できず、スケジュールを延期せざるを得ない事もある。

 基幹系システムを統合するのに、合併する企業のどちらかのシステムに片寄せするのかまたは新規に作るのか、そのコスト分担はどう決めるかなど、難題は少なくない。当初は順調に進んでいるように見えた統合プロジェクトが遅れている、中止してしまったという事例まである。

 従って、システム統合のような、大きな投資判断を伴うプロジェクトについては、経営トップの関与が不可欠である。企業合併に伴うシステム統合であれば、経営トップがプロジェクトオーナーになるくらいの覚悟で取り組まねば、円滑な推進は困難となろう。トップが距離を置いて直接関与せず、現場とラインの担当役員に任せっぱなしにしたがゆえに、プロジェクトが結果的に失敗をしてしまったという例はいくつもある。

 業務要件の整理を踏まえた上で設計・開発・テストといったプロセスを進めても、望ましくない情報ほど上司や経営層には報告しにくいものだ。経営トップがプロジェクトオーナーとして位置し、「悪い」情報も収集できる体制にして、現場の状況をタイムリーに把握できるようにしておくことが大事なのである。そうすることにより、早め早めに対策を講じられる。

 早期に対処することによって、影響範囲を小さくできる。また、システム部門をはじめとするプロジェクトのメンバーに、トップとしての意気込みや心意気を示す観点でも大切なことなのである。

 もっとも、こうした開発プロジェクトやシステムの安定的な運用には、人材とコストが必要となる。ただ、その認識は広く共有されているとはいえない。

 さらに、自社の新しい商材商品のサポートやシステムの改善、セキュリティ対策、新しい法制度対応など、広範なことに取り組むのがシステム部門なのである。普段の社内では目立たない存在であっても、システム部門がしっかりしていないと企業の活力は徐々に失われていってしまう。

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