2015年12月1日、改正労働安全衛生法が施行された。ここで始まったのが、いわゆるストレスチェック制度である。同法により、50人以上の従業員を抱える事業所は、ストレスチェックの実施と高ストレス者への専門家への面談の勧奨および労働基準監督所への報告が義務づけられた。

 IT人材のスキルやキャリアを研究するNPO法人ITスキル研究フォーラム(iSRF)は、ストレスチェック制度の開始を機に、ITエンジニアを対象にストレスに関する実態を調査した。本連載ではストレスチェック制度の解説と併せて、調査結果から浮かび上がるITエンジニアのストレスの実態を紹介する。

 今回はストレスチェック制度とは何かに加えて、ストレス要因、ストレス反応の状況、個人へのサポートの有無について見ていく。

ストレスの定義が生まれたのは80年前

 ストレスという概念がいつ生まれたのか、ご存じだろうか、実に80年前のことだ。1936年7月4日発行のネイチャー誌に、カナダの生理学者であるハンス・セリエ博士が「各種の有害要因によって引き起こされる症候群」として、ストレスの定義を発表した。

 現在では、ストレスという言葉はごく一般的な用語となっている。何をもってストレスとみなすかは人によって様々だが、ストレスが心や身体に影響を及ぼし、病気につながり得るということは、「メンタルヘルス」という言葉とともに多くの皆さんがご存知だと思う。うつをはじめとする心の病気にかかった人を「メンタルヘルス不調者」と呼ぶ。

 2014年6月25日に公布された改正労働安全衛生法の狙いの一つは、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことである。その方策として、2015年12月1日から50人以上の労働者がいる事業場で年に1回、ストレスに関する調査である「ストレスチェック」を実施するよう義務づけた。労働者自身に対してストレスへの気づきを促すとともに、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげて、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することが目的である。

「職業性ストレス簡易調査票」を利用

 厚生労働省は、ストレスチェックにおいて「心理的な負担の要因」「心理的な負担による心身の自覚症状」「他の労働者による当該労働者への支援」という三つの事項について検査を行わなければならないと、省令で定めている。そのための調査票として、「職業性ストレス簡易調査票」を推奨している(図1)。

図1●職業性ストレス簡易調査票の57項目
出所:厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について」
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