日本のEC市場規模の推移
(出所:経済産業省)
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 経産省の推計ではB2C(消費者向け)ECの市場規模は約12兆8千億円。消費支出に占めるECの割合は約4.3%だ。年々高まってはいるものの、まだ1割にも満たない。言い換えると国内のEC市場は、依然として大きな成長余地を持っていると言える。スピード、品質、多様化、リアルとの融合など、進化するECビジネスの動向を追う。

 今回は米アマゾン・ドット・コムと楽天の日米EC大手を中心に、EC業界を概観する。

リアルのショッピングにならぶ品ぞろえ

 日本でECがビジネスとして立ち上がってからおよそ20年が経った。新しいビジネスのように感じるが、すでに歴史のあるビジネスでもある。

 約20年前の1995年にWindows95が発売され、インターネットを使う人々が急増、ECを一般の人々が利用できるようになった。当時はまだ男性が多く、デジタルリテラシーの高い人が中心だったため、売れ筋商品もPCや周辺機器、書籍などが中心であった。

 1997年に楽天市場がサービスを始めた。5万円の出店料という当時では格安のサービスで多くの企業がECに参入した。2000年には米アマゾン・ドット・コムが日本でサービスを開始。インターネット証券、大手航空会社によるチケットのネット予約販売など、物流を伴わないECも本格化した。

 2001年に米国で起きたドットコムバブルの崩壊は日本にも波及し、ネットビジネスのブームは一端沈静化する。そうした中でもEC分野だけは確実に成長を続けていた。

日本のEC(物販系)市場の構成比率(単位:億円)
(出所:経済産業省)
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 2004年に「ZOZOTOWN」がサービスを開始したころから、アパレル分野が急速に増えていった。それに伴い女性ユーザーが増加し、食品や化粧品などの扱いも増加し、ECの品ぞろえは一般的なショッピングとさほど変わらない状況になってきた。

 女性ユーザーの増加に伴い携帯電話経由の販売が増加し、いわゆる「モバイルコマース」が急速に立ち上がっていく、2008年にiPhoneが発売されてからはスマホシフトが始まり、大画面化と画像利用の増加でスマホからのショッピングが増加し、2012年ごろからはスマホからの利用がPCを上回るサイトが増えてきて今日に至っている。

米アマゾン:物流の価値にこだわる

 ECを語る上ではアマゾンの存在は避けて通れない。同社の動きはそのままECのトレンドを表すと言っても過言ではないからだ。

 最近の話題のサービスの一つが「Prime Now」。1時間以内の配送を約束するサービスだ。ニューヨークのマンハッタン地区からスタートし、日本でも2015年11月に始まった。限定された地域に専用の配送センターを用意し、対象商品なら必要な時に素早く手に入れることができる。

 アマゾンが創業以来徹底してきたことの一つが、Prime Nowに代表される物流へのこだわりだ。書籍の注文をオンラインで取り次ぎするサービスで創業した同社。当時の最大の問題は書籍の入荷タイミングが分からず、商品をいつ届けられるか顧客へ明確に回答できなかったことである。結果、クリスマスプレゼントを注文したのにクリスマス当日に間に合わないなどのトラブルが起きた。価格が安かったため利用者は増えたが、創業者であるジェフ・ベゾス氏は物流の品質を高めることにこだわった。

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