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写真●熊本県阿蘇市で大規模水田を手がける内田農場の内田智也代表取締役

 ITを武器に15品種ものコメを自在に操るマジシャンのような農家が熊本県にいる。阿蘇で約5000アールもの大規模水田を作付ける内田農場の内田智也代表取締役その人だ。左手に常に巻くのは腕時計型端末「アップルウオッチ」。水田のあちこちからリアルタイムに届く水位変化などの情報に目を光らせる。

 内田農場の強みは、BtoBに特化している点にある。牛丼チェーンやコンビニエンスストアなどからの要望に応じて、適切な業務用のコメを提案して受注生産。ITを積極的に活用し安定した品質を維持しながら大量生産して、かつ低コスト化も実現している。

 TPPの発効によって今後、輸入農産物との競合が激しくなるなか、国内農家の進むべき一つの姿を先取りしている。

15品種も同時並行で育てるために

 2015年11月。一般的なコメ農家ならとうに稲刈りが終わっている時期に、内田農場ではまだコンバインが爆音を立てて水田を縦横に動き回っていた。

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写真●水田に設置したセンサーからリアルタイムに水温などのデータが“飛んで”くる

 コンバインなどの農機具の稼働率を上げるため、収穫期間を9月から11月の3カ月間に分散するように作付けしているのだ。業務用で15もの品種を同時並行で育てているのは、極めて珍しい。

 「マーケットインの考え方で市場の需要を研究し、求められるものをその都度きちんと作っているだけ」。内田代表取締役はこういってはばからない。農家も企業と同じように顧客と向き合って品質向上と効率アップに取り組み、要望に応えるのは当然で、手間を惜しむべきではないとも語る。

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