2016年1月1日付でマイナンバー制度が始動した。制度の目的である「国民の利便性向上」や「行政事務の効率化」のメリットを得られるようになるまでには、2017年1月の国の機関間の情報連携と「マイナポータル」の稼働、さらには2017年7月の自治体を含む情報連携が始まるまで待つ必要があるものの、本格稼働に向けてまずは一つの大きなマイルストーンに達した。

 今後は、たとえば引っ越しや婚姻に伴う氏名変更などで住民票や戸籍の手続きをする際には、自治体の窓口でマイナンバーの提供が求められる。2015年末までに世帯単位に郵送された「通知カード」、あるいは2016年1月から希望者に無償で交付される「個人番号カード」を持参しないと手続きができなくなる。

 企業では、税や社会保障の行政手続きのために従業員や個人取引先からマイナンバーを取得して順次、提出書類に記載しなければならない。まずは採用時や退職時の雇用保険の被保険者資格取得・喪失届などから記載が始まるが、全従業員や個人取引先が記載対象となる源泉徴収票や報酬支払調書にも2017年1月以降の税務署提出分からマイナンバーの記載が必要になる。このため、すべてのビジネスパーソンが遅くとも10月ころまでには、勤務先や取引先からマイナンバーの提供を求められることになるだろう。

 さらに、株や投資信託、公社債などの証券取引口座を新規に開設する際には銀行や証券会社からマイナンバーの提供を求められるし、支払額100万円超の生命保険の加入者は保険会社に保険金受取人のマイナンバーを提供する必要もある。徐々にではあるが、個人や企業がマイナンバーを扱うシーンは広がっていく。

 制度に対する理解と相関があるかどうかは別として、国民の関心も高まってきたようだ。通知カードの郵送がほぼ完了した2015年末時点で、個人番号カードの交付申請は1日約15万件に達し、すでに230万件を受け付けた。

 政府は2016年3月末までに1000万枚の交付を想定して2015年度当初予算に申込処理、製造・発行、交付事務の経費として約200億円を計上していたが、補正予算案で1500万枚分、約280億円を追加。2016年度予算案にも500万枚分の発行経費約140億円を計上し、合計で3000万枚分の予算を付けた。約3年後の「2019年3月末に8700万枚」という野心的な目標に向け、予算面では“本気を見せた”格好だ。

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