東京・北区の桜丘中学・高等学校で2015年12月18日、模擬授業などで構成する「桜丘 冬のICTオープンスクール」が開かれた(写真1)。桜丘中学・高等学校は2年前から、米アップルのタブレット「iPad」を中学および高等学校の新入生に配布。次年度(2016年度)からは、いよいよ全生徒・全教員がiPadを所持することになる。すべての生徒・教員がiPadを持つ状態になったら何ができるのだろうか。ICTオープンスクールから学んだことを紹介する。

写真1●桜丘中学・高等学校で2015年12月18日に開催された「桜丘 冬のICTオープンスクール」のスケジュール。左は品田健副校長
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子どもの学習はタブレットに移行するのか?

 多くの子どもは、iPadなどを使ったタブレット学習を好む。筆者が話を聞いた桜丘中学・高等学校の生徒の一人は、「高校から(桜丘に)入ったけれど、iPadが使えるというのが(入学の動機として)大きかった。欲しかったけれど(親に)『買って』とは言いづらかったが、入学したら使えるので『やったー!』という気持ちだった」と答えている。タブレットやスマートフォンを使えば新しい体験ができる。それだけでなく、家庭ではゲームをしたり動画を見たりと、生徒にとってタブレットは“楽しいもの”という印象が強いことも影響しているだろう。

 ただし、タブレット学習に関しては、年齢がより低い子どもの方が新鮮なものとして捉えて、好む傾向にあるようだ。タブレットを活用するある小学校の教員は、「小学生は確実にタブレット学習を好む」と断言する。小学校でタブレットを使った授業をすると、多くの小学生が「楽しかった」と答える。一方でタブレットを活用している中学校教員は、「そろそろ(タブレットに)興味を持たない子どもも現れてくる」と答えている。

 学校現場への導入が進みつつあるタブレットだが、子どもの学習ツールは、紙と鉛筆からタブレットに移行するのだろうか。そもそもタブレットを導入した学校は、授業時にノートは紙で取るのか、それとも紙のノート代わりにiPadを使うのか。タブレット学習の可能性と課題を現場の声から拾うため、ここでは桜丘高等学校2年生の複数人に授業でのタブレットの利用状況を聞いた。なお、同校ではほぼ全ての生徒がスマートフォンを所持しているが、学内では利用禁止となっている。家庭ではスマートフォンとiPadを活用しているそうだ。以下生徒の回答を見ていこう。

 Aさん:「(紙の)ノートが好きなので、iPadに送られた解法も一度(紙の)ノートに写している。割合で言えば、iPadと(紙の)ノートの使用比率は1:9で、基本は紙のノート。(タブレットの画面に)指で書くのはあまり好きではない」

 Bさん:「昨年初めてiPadを手にしたため、昨年は6、7割はiPadを使った。しかし、やはり(紙の)ノートの方が自由が利くので、今年はほぼ10割を(紙のノートに)手書きした」

 Cさん:「iPadと(紙の)ノートの使用比率は1:9で(紙の)ノートの方が多い。空欄プリントがiPadに配られたら、iPad上でそこに書き込むが、板書は(紙の)ノートに写す」

 Dさん:「iPadと(紙の)ノートの比率は3:7で(紙のノートへの)手書きが多い。ただし、(自分自身は紙の)プリントをすぐに無くしてしまうが、iPadで配られたプリント(のデータ)は無くさないのが利点」

 Eさん:「iPadと(紙の)ノートの比率は1:9。英語の授業では、グループに分かれて英訳したことをプロジェクターに映して解説してくれるため、iPadを使った方が分かりやすい。しかし、それ以外は紙のノートの方が書きやすい」

 Fさん:「iPadと(紙の)ノートの比率は2:8。その場で済むことや、グラフなど書き写すのに時間かかるものはiPad(のカメラ)で撮影する。基本は書きながら考えたりできるので(紙の)ノートに書き写すことが多い」

 Gさん:「iPadと(紙の)ノートの比率は1:9。電子教科書に答えを書き込むと後で見返す際に回答が分かってしまって困るので、(紙の)ノートに書いている」

 Hさん:「授業中に(紙の)ノートに書いていると先生の話が聞けないので、時間がかかりそうな時はiPad(のカメラ)で撮影して後で書き写すようにしている。先生の話に集中でき、聞き漏らすことがなくなる」

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