立ち上げから4年で月間利用者数が世界2億人を超えたメッセンジャーアプリの「LINE」。今やメッセージ交換にとどまらず、多様なサービスを展開している(写真1)。第4回目はLINEを取り上げ、誕生の経緯や特徴を、続いて今後のビジョン、最新のサービスなどを解説する。

東日本大震災から生まれたLINE

 東日本大震災の時、被災地は電話回線もメールも不通になり大混乱となった。運営会社であるLINEの前身であるネイバージャパン(後にNHN Japan)でも、一時、社員間やその家族とも連絡が取れなくなり、スカイプなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が活躍した。その体験が、ゲームや写真、そしてコミュニケーションに関連したスマホ向けのサービス開発を模索していたネイバージャパンに、メッセージ機能の重要性や可能性を気づかせることになる。

写真1●多様なOSと機器で使えるLINE
出所:LINE
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 震災直後の4月ごろに開発に着手。震災から3か月後の2011年6月23日に、新しいコミュニケーションサービス「LINE」をリリースした。当時はまだメッセージ交換に特化したシンプルなもの。当時は誰もそのヒットを予想していなかった。

電話帳にこだわり、リアルなつながりを重視

 LINEはもともと、「身近な人との連絡手段」「親しい人とのコミュニケーションツール」として開発されたこともあり、すでに知り合いになっている特定の利用者同士だけでメッセージをやりとりすることを想定したサービスだった。

 アカウント開設時の利用者登録については、電話番号でマッチングさせる仕組みにした。電話帳を使えば、自動的に自分の知り合いとつながれる。安心して人と人がつながれることを優先した。

事業計画はあえて作らない

 LINEの事業展開で際立っている特徴は、「利用者の動向をみて俊敏にサービスを変えていく」という姿勢だ。あらゆる企業に共通する姿勢ではあるが、LINEもこれを徹底している。

 その象徴が、事業計画を作らないこと。計画を作るとそれに縛られてしまい、変化の激しいネットの世界ではかえって利用者のニーズを機敏にくみ取れなくなってしまうとの判断からだ。

 今のLINEの大躍進はスマートフォンの普及に後押しされたもの。このような成長は、当のLINEですら予想していなかった。LINEは事業計画や将来ビジョンよりも、今まさに利用者に受け入れられるかどうかという「臨機応変」を重視している。その積み重ねで未来を作っていこうという考え方だ。

 サービスの内容も、研究に研究を重ね、これというサービスを突き詰めて全世界一斉に提供を始めるというスタイルではない。基本のサービスがありながらも、各国の市場環境や文化、習慣、通信環境、法環境、契約関係などに合わせて内容をローカライズしている。これは未来は誰もわからなので、決めすぎてがんじがらめになってしまうより、適切なタイミングで適切なサービスを出すことが大事という姿勢だ。

 LINEは日本ではクローズドなサービスで、原則として友人や知人とのメッセージ交換を目的にしている。一方、海外では知らない人とつながれるサービスとして使われているケースもある。スタンプも世界各国でスタイルが全然違う。ひとつのサービス形態に固執しているわけではなく、各国の利用者のコミュニケーション環境や利用者のニーズに合わせる柔軟さを、LINEは標榜している。

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