この連載では、仕事で勝てる「ビジネス文章力」をテーマにしている。良いビジネス文章を書きたいなら、単に礼儀作法を知っているだけではダメである。ビジネススキルを向上させること、これが良いビジネス文章を書くための条件である。

 当文章治療室では、筆者がこれまで実務現場で経験してきたケースを使い、さまざまな文章力不足を「病」にたとえ、治療というコンセプトで、スキルアップの具体的方法について紹介する。

 今回は「ビジネス広視野高視座不足」の治療である。仕事では広い視野と高い視座をもって考え、正しい判断をすることが欠かせない。しかし、視野が狭かったり、視座が低いために、仕事がうまくいかないことが多い。

 良い仕事をしたいなら、自分だけでなく、他人の視野で見て、他人の立場で考えて「何が必要か」を判断すべきである。このようなことができない人は、仕事を成功させることはできないのだ。今日の患者さんも、そういう人だった。

京橋章子氏(仮名 30歳 女性 係長補佐)の症例

 京橋氏は、中京地区の家電量販店チェーンA社のIT企画課に勤務する係長補佐である。大学で経営学を専攻し、海外留学を経た後A社に入社し、システム開発の仕事を担当してきた。

 最初に、プログラマー、それからシステムエンジニアとして働いた。その後「ITを使って仕事の効率化を考えたい」という希望を持ち、希望してIT企画課でエンジニア教育、IT技術の基礎研究の他、総務的な仕事を担当している。

 家電量販店を営むA社の経営陣には大きな悩みがあった。それは、顧客の購買行動に変化していることである。その行動変化がA社の販売業績に影響を与える要素になってきたのだ。

 A社の店舗で商品を見た顧客は、一定の割合でその商品に興味を持つ。その後購買意欲が高まってくると、いろいろなことを店員に聞き、最後に購入を決めるという購買プロセスを経る。

 来店客のうち、購買に至る割合は長年大きくは変わらなかったのに、ここ数年で購買に至るお客さまの割合が減少する兆候があった。その理由は、「ネット」「スマートフォン」「価格比較サイト」「通販サイト」であった。

 顧客は来店して商品を見て、じっくり店員から情報を聞き出すと、最後に「検討する」と言って店舗を出る。そのあと、帰りの電車で「スマホ」を使って価格比較サイトで最安値を検索し、「通販サイト」から最安値の商品を注文する流れになっていることが分かったのだ。

 これらの行動は、ショールーミングと呼ばれる。A社の経営層は早速この対策を検討することにし、スマホやネットでの注文行動の導線分析をするために、IT企画課に検討を指示。コンサル会社から転職してきたばかりのIT企画課長が責任者になった。

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