MTGOX事件によって、逆風が吹いた日本のビットコイン業界。業界団体である日本価値記録事業者協会代表理事(JADA)の代表理事で、取引所などを運営するbitFlyerの代表取締役でもある加納裕三氏は、「1社でも同じようなことを起こせば、業界全体が終わってしまう」と強い危機感を持ち、対策に当たる。今、ビットコインが信頼を失えば、ブロックチェーンなどの有望な技術研究の分野で日本が立ち後れる可能性がある。業界を守るための取り組みを聞いた。

(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ


bitFlyer代表取締役 加納裕三氏
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日本価値記録事業者協会(JADA)を2014年10月に発足した。

 二度とMTGOX事件のようなことを起こさせない。JADAを発足した際の大事な目標はこれだ。これが一番大切なことであり、今も同じ思いだ。

 ビットコインは大きな可能性を秘めている。ブロックチェーンを応用したサービスについても同様だ。だからこそ私は起業し、普及を目指して活動を続けている。

 MTGOX事件でビットコインの認知は高まったのは確か。ビットコインという名前は、お年寄りにも知ってもらえている。ただし高まったのは悪い意味での認知度だ。黒を白にするのは大変な作業。そう簡単に実現できるとは考えていない。

 そもそも新しいテクノロジーが登場すると、最初はマスメディアを含めていろいろな人が警鐘を鳴らす。最近で言えばドローンも同じだろう。遡れば、電子マネーやETC(自動料金収受システム)が登場したときもそうだった。セキュリティは大丈夫かと、ずいぶん不安がられていたと記憶している。

 ところが電子マネーやETCは、今や絶対的な安心感を獲得できている。信頼を重ねていけばどこかのタイミングで、オセロのように黒が白へとひっくり返っていく。ビットコインについても信頼を勝ち取れるように、地道に各事業者が取り組んでいくしかない。

業界を代表して情報発信が可能に

 JADAを発足してちょうど1年。かなりの手応えを感じている。第一に、啓蒙活動のチャンスをもらいやすくなった。JADAがなければ、当社を含めて各社は一事業者でしかない。ビットコイン業界としてのまとまりを欠いてしまう。JADAがあるからこそ、私はその代表理事として業界を代表して話をしたり、情報発信ができる。

 政府との関係をより強くできていることも成果の一つだ。勉強会などを数多く開催し、テクノロジー面での政府の理解も進んでいる。

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