スマートフォン用SoC(システム・オン・チップ)大手の米Qualcomm。2016年には同社のスマホ用SoCを搭載したドローンが市場に出回る予定だ。Qualcommがドローン市場に参入した狙いは「IoT(Internet of Things)」にある。ドローンは「空飛ぶセンサー」であり、屋外におけるIoTを推進する上で欠かせない存在になると同社は期待する。

 まずはQualcommによるドローンに関する取り組みを見てみよう。同社は2015年9月に、カメラを搭載したドローンを開発するためのボードである「Snapdragon Flight」を発売した。Snapdragon Flightは、ドローンを制御するSoCの「Snapdragon 801」や2Gバイトのメモリー、GPS受信機、空撮用の4Kカメラ、自己位置推定用のカメラ、フライトコントローラーなどを搭載したボード(写真1)。このボードにモーターやバッテリーを組み合わせると、カメラを搭載した小型のドローンのできあがりとなる(写真2)。

写真1●カメラ付きドローン開発ボードの「Snapdragon Flight」
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写真2●Snapdragon Flightを搭載するドローン
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 Qualcommはドローンのメーカーに対して、ボードだけでなくドローン本体の設計図(リファレンスデザイン)や、自律飛行制御に必要なソフトウエアなどを組み合わせて提供する。メーカーに対してSoCだけでなく本体の設計図やソフトも提供するというやり方は、Qualcommがスマホ市場でやってきたことと同じだ。

どんなメーカーでもドローンを開発可能に

 Qualcommはスマホメーカーに対してSoCや設計図、ソフトを供給し、スマホを「誰でも開発できるもの」にした。それによってスマホ市場に参入する新興メーカーが急増し、Androidスマホの価格は大幅に低下した。それと同様にQualcommはドローン市場においても「誰でも高機能なドローンを開発できる」という状況をお膳立てし、現在は1000ドルを超えるドローンの価格を300ドルにまで引き下げることをもくろむ。

 なぜQualcommがドローン市場に参入したのか。

 Snapdragon Flightの開発を担当した子会社、米Qualcomm AtherosのHugo Swart氏は「スマホ用SoCにはドローンに必要な様々な機能が搭載されており、スマホ用SoCを採用してドローンを開発すれば、ドローンのサイズを従来よりもずっと小さくできることが分かったからだ」と語る(写真3)。

写真3●米Qualcomm AtherosのHugo Swart氏
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 実はSnapdragon Flightの心臓部であるSoCの「Snapdragon 801」、同社がスマホ用に販売してきたSoCである。スマホ用SoCは、パソコン用プロセッサと同じ「CPUコア」や画像処理用の「GPU(グラフィックス処理ユニット)コア」だけでなく、信号処理用の「DSP」や「4G LTE」の通信機能や無線LAN機能、ビデオエンコーダーなどを一つのチップ上に搭載する。

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