米General Electric(GE)のデジタル事業部門、GE Digitalに買収された日本生まれのIoT(Internet of Things)スタートアップ企業がある。社名はIQP Corporation(以下、IQP)。イスラエル人の夫と共に同社を起業したカプリンスキー真紀氏は「日本の起業家はもっとグローバル展開に挑戦してほしい」と語る。

カプリンスキー真紀氏
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 GE Digitalが従業員数20人のIQPを4000万ドルで買収すると発表したのは2017年7月末のこと。その時点ではIQP本社は米シリコンバレーにあったが、イスラエル人のガイ・カプリンスキー氏と、その妻である真紀氏がIQPを創業したのは日本だったし、IQPにベンチャー資金を投じたのも、富士通とSBIインベストメントの日本企業2社だった。シリコンバレーではスタートアップのM&A(統合・買収)が盛んに行われているが、日本で起業したスタートアップが米国企業のM&A対象になることは非常に珍しい。

 2011年に創業したIQPは、東京に営業拠点を、イスラエルのテルアビブにソフトウエアの開発拠点を置き、IoTに必要なシステムをコーディング不要で開発できるツールやアプリケーション実行環境を販売していた。IQP製品は富士通などが採用していた。

分析クエリーや画面をGUIツールで開発

 IQPの製品を使うと、IoTデバイスから発生する様々な種類のデータをインターネット経由で収集し、集めたデータをCEP(複合イベント処理)エンジンでリアルタイムに加工・分析し、その結果をグラフなどで可視化するようなIoTアプリケーションを作成できる。分析クエリーやアプリケーションの画面などはGUI(グラフィカル・ユーザーインタフェース)ツールで開発できるので、資産パフォーマンス管理(Asset Performance Management)システムなどをコーディング不要で開発できるとする。

IQPの開発ツールでデバイスから集めるデータの定義をしている画面
(出所:IQP Corporation)
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IQPの開発ツールでデータ可視化のアプリケーションを作成している画面
(出所:IQP Corporation)
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 GE DigitalもIoTプラットフォーム「Predix」の一部として、アプリケーション開発ツール「Predix Studio」を提供している。GE Digitalは買収したIQPの技術をPredix Studioに組み込む計画だ。カプリンスキー夫妻などIQPのメンバーはGE Digitalの所属となり、Predix StudioとIQP製品の連携を進めているところだ。

 IQPがGE Digitalに買収されたきっかけは、2016年11月にGE Digitalがイスラエルで実施した「Predix Startup Accelerator Program」にIQPが参加したことだった。このプログラムはPredix上にアプリケーションを開発するスタートアップをGE Digitalが募集し、その開発をGE Digitalが支援するというものだ。

 同プログラムへの参加とほぼ同時に、IQPが米国市場への進出を目指してシリコンバレーに移転したため、同じくシリコンバレーに拠点を構えるGE Digitalとの接点が増えた。結果、2017年7月末の買収に至ったという。

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