米国の大手クラウド事業者が、ディープラーニング(深層学習)を使った人工知能(AI)のクラウドを強化している。米Googleと米Microsoftが2016年3月下旬に新サービスを相次ぎ発表したほか、米Salesforce.com(SFDC)は16年4月4日(米国時間)に、ディープラーニングを使ったAIクラウドを提供するスタートアップ、米Metamindを買収すると発表した()。

表●米国の大手クラウド事業者が提供するAIクラウド
3~4月に発表したものには「*」印を付けた
Amazon Web ServicesGoogleIBMMicrosoftSalesforce.com
学習済みの機能のサービスTranslate API、Vision API、Cloud Speech API*Watson Developer Cloud、AlchemyAPIMicrosoft Cognitive Services*Metamind*
機械学習プラットフォームサービスAmazon Machine LearningCloud Machine Learning*Bluemix Predictive AnalyticsAzure Machine Learning

 Googleの「AlphaGo」がプロ棋士に勝利するなど、ディープラーニングへの興味関心は高まっているが、AI研究者を抱える大手企業でなければ手が出せないのが実情だった。ディープラーニングを使ったAIを誰でも使えるクラウドとして提供することによって、クラウド事業に弾みを付けるのが各社の狙いだ。

 AIクラウドは大きく二つに分類できる。一つはAI開発に必要な機械学習のプラットフォームをサービスとして提供するもの。もう一つはクラウド事業者が機械学習を使って開発した画像認識や音声認識などのAIをサービスとして提供するというものだ。

 前者の機械学習プラットフォームサービスは、ユーザー企業が機械学習を使って様々な種類のAIを開発できる。その一方で、ユーザー企業は機械学習に使用する「モデル」を構築したり、「教師データ」を集めて機械に学習させたりする必要がある。

 後者の個別機能のAIサービスでは、ユーザー企業はクラウド事業者が用意するAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を呼び出す簡単なコードを記述するだけで、自社のアプリケーションに画像認識AIや音声認識AI、機械翻訳AIなどを組み込めるようになる。利用できるAIの種類は限られるが、ユーザー企業が機械学習のモデルを構築したり、教師データを用意したりする必要は無い。

深層学習を誰でも利用可能に

写真1●米GoogleのSundar Pichai CEO
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 Googleは2016年3月23日(米国時間)に米国サンフランシスコで開催した「GCP Next 2016」で、機械学習プラットフォームサービスの「CloudMachine Learning(ML)」と、音声認識AIのクラウドである「Cloud SpeechAPI」を発表した(写真1)。

 Cloud MLは、同社が開発したディープラーニングソフトの「TensorFlow」が利用できるというサービスだ。機械学習プラットフォームとしては、Microsoftの「Azure Machine Learning」や米Amazon Web Services(AWS)の「Amazon MachineLearning」などが先行する。

写真2●Googleの「Vision API」で猫を認識した画面
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 世界トップクラスのプロ棋士に勝利した「AlphaGo」を生み出したGoogleのディープラーニング技術を広くサービスとして提供することで、先行する2社を猛追する考えだ。

 Cloud Speech APIは、ディープラーニングを使って開発したAIサービスだ。Googleは2015年12月にも、ディープラーニングを使った画像認識AIの「Vision API」を提供開始している(写真2)。同社の「Google Photos」などが備えるのと同じ画像認識機能を、一般ユーザーが利用可能になった。

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