80年代以降、IT業界はずっと「オープン」という方向に動いてきました。オープンはユーザーの選択肢を増やす。そしてコストを下げる。それがさらにITビジネスの世界を発展させる。IT業界におけるオープン信仰は疑いのないものでした。しかしクラウド時代になって、なんとなくオープン信仰の方向性が変化してきたように思います。クラウドコンピューティングの影響です。

(提供=123RF)
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 9月にサンフランシスコで開催されたオラクルのイベント「Oracle OpenWorld」のキーノートスピーチで、ラリー・エリソン会長は「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)はかつてのIBMメインフレームよりもはるかにクローズドだ」ということを言っていました。「IBMのメインフレームでアプリケーションを動かす仕組みだったMVS(OS)やCICS(TPモニター)はIBMのハードウエアでしか稼働しなかった。だからIBMユーザーは、自分が作ったアプリケーションを使い続けるためにはどんなに高価であってもIBMのメインフレームを購入し続けるほかなかった」。

 オラクルはIBMメインフレーム全盛の時代に、価格の安いUNIXサーバーでもアプリケーションが作れるデータベースソフトとして世界中の注目を集めました。クローズドなIBMに対抗するオープンシステムの旗手がオラクルだったのです。

 ラリー・エリソン会長はこう続けます。「AWSでアプリケーションを動かす仕組みはLambdaやAuroraだが、これらはAWSでしか動かない。まるでIBMメインフレームだ。しかも企業が現在使っているシステムをAWSへ移すのは一苦労だけど、一旦移してしまったシステムをAWSから別の場所に移すのは全く不可能だ。入ったら最後、出てこれないのがAWSだ。クローズドの代名詞だったIBMメインフレームだって、日立や富士通のIBM互換機があった。IBMのコンピュータが使いたくなければ比較的安い互換機を買うこともできたわけだ。けれども、AWSには互換機に当たるものがない」。

 だからAWSユーザーは、かつてのIBMメインフレームユーザーよりも強く「ロックインされている」というのです。

 IBMメインフレームの垂直統合戦略に対するアンチテーゼとして出現したのがオープンシステムです。マイクロソフトやオラクル、HPEといったクライアント/サーバー時代のベンダーは、ベンダーロックインを嫌ったユーザーに歓迎され、オープンシステムという大きな潮流となりました。そこから生まれたのがインターネットであり、クライアント/サーバーシステムです。

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