自社のIT部門に不満を抱いている経営トップは少なくありません。実際は優秀な人材が少なからずいるはずなのですが、なぜ「うちのIT部門は使えない」と経営トップは考えてしまいがちなのか。その理由の1つはIT部門が担っている仕事の価値が、トップの視点ではわかりにくいからです。

 クラウドの時代になっても、大方のIT部門の仕事は老朽化したシステムの再構築です。社内にいくつもある「基幹業務システム」を数年おきに再構築して、これからもう数年間寿命を延ばすのがIT部門の最も重要な任務になっています。システム再構築のやり方はいくらでもありますが、共通するのは業務に影響を与えない、つまりこれまでのシステムと全く同じ挙動をするアプリケーションを作る点です。業務改革とかイノベーションとは全く縁遠い仕事なのです。

 数十年に渡って運営されてきたシステムにはいくつものデータベースや対外接続が必ず存在します。システム再構築のときに問題になるのは必ずこうした複雑な構造です。複雑なものをシンプルにしたいという思いは誰しも同じです。いくつも存在しているデータベースの存在、そして対外接続といった複雑な現状を新しい器へ一気に移せるならば、そんなに楽なことはありません。ところがこれがとても難しい。「何が正しいのか」というベンチマークが存在しないからです。

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