2016年9月6~8日まで、サンフランシスコで米Boxの開発者会議「BoxWorks」が開催された。エンタープライズ向けストレージサービスの企業のため、一般ユーザーにはあまり知名度は高くないかもしれないが、確実に存在感を増しているシリコンバレー企業の一つだ。

 この会議で興味深かったのは、ストレージサービスの企業としてスタートした同社が、着々と「コンテンツマネージメント」や「ワークフロー」など業務分野にサービスを広げていることである。エンタープライズソフトウエアやクラウドサービス市場における競争の中で、サービス内容の改善とユーザーの囲い込み戦略とを同時に追求する結果、刻々とオーガニック(有機的に)に姿を変えていくシリコンバレー企業の好例の一つと見た。

 今回の発表の中では、Boxのサービスと米Googleの「Google Doc」や「Google Springboard」とを連携可能にする話題に加えて、米IBMとBoxが共同開発した「Box Relay」(写真1)というワークフローを自動化するサービスが面白かった。

写真1●「Box Relay」のスクリーンショット
出典:米Box
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 「Box Relay」は、日常的な仕事の中で決まりきったルーティーンを省略できるような機能がある。例えば人事部が新しい採用候補者の略歴などのドキュメントをBoxのクラウドにアップロードすると、ほかの採用担当者がそれを確認(レビュー)するというワークフローが始まる。もし締め切り日までに確認作業が終わっていなければ、Box Relayが自動的にリマインダーを送って催促してくれる。

 同様に、法務部のチェック、予算申請の認証、製品スペックの確認など、社内、社外のチームの共同作業のための何段階ものワークフローを簡単に作り、作業の進捗状況を画面で全員が確認できる。どの段階、誰の作業が滞っているのかなども可視化される。

 ストレージやファイル共有からスタートして、Boxが業務分野へ進出していくのだなあと感慨深いものがあると同時に、今後同様のエンタープライズ向けクラウドサービスを提供する米Salesforce.comや米Workdayなどとどう競合していくのか興味深い。

 Box Relayが担おうとするプロジェクト進行は、従来の企業内ではとても重要な業務だった。チーム全員に作業を気持ちよく進めてもらい、その進捗を確認し、締め切りまでに作業を完了させるというのは、経験と人徳が必要な仕事だった。

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