シリコンバレーのスタートアップが開発する「IoT(Internet of Things)ハードウエア」の多様化が著しい。画像認識技術によって赤ちゃんの心拍や体温をモニターするカメラや、介護が必要な老人のおむつ替えの時期を検出するウエアラブルデバイスなど、様々なデバイスが登場しようとしている。

 今回筆者は、米サンフランシスコに拠点を置くアクセラレーター「Highway 1」が2016年5月23日に開催した「デモデー」に参加し、様々なスタートアップが開発するIoTハードのデモを見せてもらった。Highway 1は、シリコンバレーにいくつかあるハードウエアアクセラレーターの一つ。ハードウエアを開発するスタートアップに創業資金を提供し、3カ月のプログラムで製品化にまで育て上げる。Highway 1はこれまでに6期、67社のスタートアップを輩出してきた。

 今時のスタートアップが開発するハードウエアというと、やはりIoTが思い浮かぶ。これまでのIoTハードウエアは、家の中に置くちょっとおしゃれな小物、というイメージが強かった。しかし今回のデモを見て、そういうイメージが払拭されるほどIoTハードウエアが多様化していると感じた。

 今回デモを行った6社のうちから、興味深かったものを紹介しよう。

画像認識だけで赤ちゃんの心拍や呼吸をチェック

 「Cocoon Cam」は、生まれたばかりの赤ちゃんをモニターするインターネットカメラだ。新生児モニター用のカメラは既にいろいろ出ているが、Cocoon Camが異なるのは、映像だけでなく、赤ちゃんの心拍、呼吸、肌の温度なども感知できることだ。これを、赤ちゃん側には何も装置を付けることなく、コンピュータビジョン(画像認識)のソフトウエアだけで行っている。

 いつもより熱が高いとか、赤ちゃんが泣いている、寝返りをうった、あるいはベッドから飛び出そうとしているといったことも検出し、それを親のスマートフォンに通知する。こういうところまでコンピュータビジョンが使えるのかと、ちょっと感心した。こんなカメラがあれば介護などの分野にも進出できそうだが、実際に赤ちゃん向け以外の市場への進出も見込んでいるのだという。

データ主導の自転車体験を開発

 「OpenBike」は、「自転車のためのOS」開発を目指すスタートアップだ。ライト、センサー、セキュリティ機器など、自転車用のエレクトロニクス部品からさまざまなデータをクラウドに集め、修理やエクササイズ、盗難防止などにデータを活用する。そうした「未来の自転車体験」を作り出そうとしている。同社はハードウエアとソフトウエアの両方を提供するが、自転車上のネットワークでは他社の製品との互換性も確保するという。

IoTは若者向けに限らず

 IoTは、若者向けだけではないことを製品化して見せたのは「Sensassure」だ(写真1)。同社は、おむつの水分をモニターするセンサーを開発する。きっかけとなったのは、老人ホームや介護施設で働く介護士らが、数多くの高齢者や身体障害者のおむつの取り替えを個々人に合わせて行えないのに気が付いたこと。薄いベルトのようなセンサーは、おむつの外側に取り付け、何度も繰り返し利用できる。

写真1●Sensassureが発表したおむつ用ウエアラブルセンサー
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