いよいよ2015年10月にマイナンバー制度が開始され、来年1月からは民間企業や行政機関でマイナンバーの利用が始まる。筆者は、内閣官房社会保障改革担当室、そして特定個人情報保護委員会に民間の弁護士として3年半ほど出向して、マイナンバー制度の検討や法律の条文作成、「プライバシー影響評価」制度の新設を担当してきた。本特集では省庁での経験を基にマイナンバーの目的は何か、マイナンバーとどのようにつきあっていけばよいのかを解説する。

なぜ番号が必要なのか?

 そもそもマイナンバーはなぜ必要なのだろうか。「何となく必要な気もする」「何となく不安で怖い」と感じられる方も多いのではなかろうか。多くの企業のサービスではお客様番号や顧客IDが振られる。マイナンバー制度が導入される趣旨も、これとほぼ同じである。

 これまではマイナンバーがなくても、通常は氏名・生年月日・性別・住所を使って、個人を特定していた。ただ、住所や氏名は変わることがある。性別も変更されうる。変更した事実を証明する書類を確認すれば、同一人物かどうかを確認するのにコンピュータによる処理だけでなく、人間の目視による処理が必要になり時間がかかる。

 本来の氏名が変わっていなくても、字形の違いが問題になることがある。例えば「渡辺花子」さんと「渡邊花子」さんが、異なる機会に別の漢字を充てた同一人物なのか、あるいはそもそも別人なのか、ほかに手がかりがなければ判断しようがない。年金事務に代表されるように、特に行政サービスは長期間にわたり広範囲の対象者の情報を管理しなければならず、正確性が強く要求される。

 ところが、過去には税金滞納者と同姓同名の他人の預金を差し押さえてしまったり、同姓同名の別人に市営住宅の家賃滞納に関する書類を誤って郵送したりした事件も起こった。ミスの防止や事務処理の効率化を図り、早く確実に本人特定しようとするのがマイナンバーだ(図1、図2)。

図1●氏名や住所による本人特定は正確さや効率に問題
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図2●番号で本人特定を正確、迅速に
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