米アップルは米国時間の2017年9月12日に、3機種の新iPhoneを発表した。なかでも大きな注目を集めているのは、AIの処理をサポートする「ニューラルエンジン」を搭載したプロセッサ「A11 Bionic」と、それを活用して顔による生体認証を実現する「Face ID」だ。クラウドではなく端末側のAI機能を強化する理由と、AIがスマートフォンにもたらす可能性について考えてみる。

AIを活用した「Face ID」が注目を集める

 毎年大きな注目を集めるiPhoneの新機種発表だが、米国時間で9月12日に開かれた今年の新機種発表会も、例年以上の盛り上がりを見せたようだ。理由はやはり「iPhone X」の存在にあると言えよう。

 アップルは今年、従来モデルの延長線上にある新機種「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」に加え、その上位モデルとなる「iPhone X」も発表した。iPhone Xは5.8インチの有機ELディスプレイを採用し、ホームボタンを排して前面をほぼディスプレイで埋め尽くす、新デザインを採用したiPhoneである。

米国時間で9月12日に発表されたアップルのiPhone上位モデル「iPhone X」。前面がほぼディスプレイを占めるデザインが特徴的だが、より注目されたのはAIに関する機能だ
出所:アップル
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 それ以上に大きな注目を集めているのが顔認証の「Face ID」である。iPhone Xはホームボタンがなくなったことから、従来ホームボタンにあった指紋認証のTouch IDが廃止された。その代わりとして新たに搭載されたのがFace IDだ。

 Face IDは、本体前面に搭載された「TrueDepthカメラ」を用いて顔の認証をする仕組みとなっている。具体的には、3万以上の目に見えないドットを顔に投射し、それを赤外線カメラで読み取って顔の情報を取り込み、解析して認証する。この顔情報の解析に用いられているのが、新しいプロセッサ「A11 Bionic」である。

 A11 Bionicは6コアのCPUを搭載し、iPhone 7などに搭載されていた「A10」と比べ、2つの高性能コアは25%、4つの省電力コアは70%高速になるという。また独自設計のGPUを搭載することで、前世代より描画性能が30%向上し、高度な3DゲームやARコンテンツの実現が可能になるとしている。

 だが最も注目されたのは、AI処理をサポートするために設けられた「ニューラルエンジン」であろう。ニューラルエンジンは画像認識や自然言語処理などに用いる機械学習を高速化するもので、毎秒最大6000億回の演算処理を実行できるとしている。Face IDで顔を解析する処理にもニューラルエンジンが用いられており、高速かつ正確な顔認証を実現するのに役立っているようだ。

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