KDDIは2016年8月17日、auの月額料金と一緒に決済ができる、いわゆるキャリア決済サービス「auかんたん決済」が、アップルのApp StoreやiTunes Storeなどに対応したと発表した。長年キャリア課金への対応に消極的だったアップルが、ここに来てキャリア課金への対応を積極化しているのはなぜだろうか。また、他社に先駆けてキャリア課金に対応させたKDDIの狙いはどこにあるのだろうか。

auの「かんたん決済」がApp Storeなどに対応

 毎月の携帯電話料金と一緒に、コンテンツや商品を購入した料金が請求される、いわゆる「キャリア課金」。面倒な登録などを必要とせず使えるのに加え、インターネット上で有料サービスを利用するうえで必須だったクレジットカードを用意することなく使えるサービスである。

 キャリア課金はフィーチャーフォン時代、クレジットカードを持つことが難しい若い世代から高い支持を獲得した。モバイルコンテンツビジネスを飛躍的に成長させるのに大きく貢献し、一世を風靡した。だが、スマートフォン時代に入ると急速に存在感を失うこととなる。

 その理由はアップルにある。アップルはApp Storeなど自社サービスの決済手段に関して、長い間キャリア決済を認めてこなかった。そのためiPhoneでコンテンツを購入する際にはキャリア課金が利用できず、ユーザーはクレジットカードを用意するか、プリペイド方式のiTunes Cardなどを利用する必要があった。

 一方、Androidでは2011年よりAndroid Market(現Google Play)のキャリア課金対応を開始している。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリアの利用者は以前からキャリア課金を利用できた。またiPhone上であっても、アップルの影響が直接及ばないWeb上のサービスなどであれば、キャリア課金の利用に制限はなく、KDDIの「au WALLET」のように電子マネーへのチャージなどにも活用できる。キャリア決済の利便性自体は、現在も失われているわけではない(写真1)。

写真1●キャリア決済は現在も、有料コンテンツの支払いやECサイトでの商品購入、さらには電子マネーのチャージなどに利用されている。写真は2014年5月8日のau新製品・サービス発表会より(筆者撮影)
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 しかしながら日本では、iPhoneが半数を超えるシェアを獲得していると言われており、圧倒的にiPhoneユーザーが多い。しかも現在、スマートフォン上のコンテンツサービスの主流は、Webからアプリへと移ってしまっている。それゆえApp StoreやiPhoneのアプリ内での決済手段として利用できないことが大きく影響し、キャリア課金は長い間、存在感を失ってしまっていたのだ。

 だが8月17日、KDDIはauのキャリア課金サービス「auかんたん決済」が、App Store、Apple Music、iTunes、iBooksの決済に対応したと発表した(写真2)。これによってauユーザーに限定されるが、App Storeなどでのダウンロード課金はもちろん、ゲームアプリなどでアイテムを購入する際にも、キャリア課金が利用できるようになったのである。

写真2●KDDIは8月17日に、「auかんたん決済」がApp Storeなどの決済に対応したことを発表。App Storeの支払い方法設定でも、キャリア課金が選択できるようになっている
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