NTTドコモは、公共交通の分野に力を入れ始めている。最近の動きとしては、自動運転バスの実証実験に参加したり、タクシー事業者などと協力し、人工知能(AI)を活用した最適配車・運行を実現するモビリティシステム構築に注力するなどの取り組みを見せている。

 自動車にITを取り入れる動きは世界的に加速しているが、そのなかでも公共交通にターゲットを絞るNTTドコモの狙いはどこにあるのだろうか。

AIをタクシーの需要予測に活用

 自動車にITを活用する取り組みは、現在世界的に進められている。日本でも様々な自動車メーカーやIT関連企業が、自動車にITを活用する取り組みを積極的に推進するようになっている。

 そうしたなかでも個人向けの乗用車ではなく、バスやタクシーなどの公共交通に向けた取り組みを強化しているのがNTTドコモだ。同社は2016年7月、福岡市やディー・エヌ・エー(DeNA)と共同で「スマートモビリティ推進コンソーシアム」を設立。DeNAの自動運転バスを活用した運行管制システムを開発し、九州大学の構内で自動運転バスのサービス提供に向けた実証実験を進めている。

NTTドコモは福岡市やDeNAらと「スマートモビリティ推進コンソーシアム」を設立。九州大学構内で自動運転バスの実証実験を進めている。写真は2016年7月8日の同コンソーシアム設立会見より(筆者撮影)
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 NTTドコモは2017年2月から3月にかけて、立て続けにAIを活用した公共交通に関する新しい取り組みを打ち出してきた。その1つが「AIタクシー」である。

「AIタクシー」は、タクシーの走行情報やNTTドコモのモバイル空間統計などのデータを活用し、500mメッシュ単位で30分後のタクシー需要を予測するシステムだ。写真は2月17日に実施されたAIタクシーのデモンストレーションより(筆者撮影)
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 これは、タクシー事業を手掛ける東京無線協同組合と、富士通、そしてカーナビゲーションシステムなどを手掛ける富士通テンと協力して進められている。AIタクシーでは、NTTドコモの携帯電話ネットワークの利用動向から人の動きの変化を推計する「モバイル空間統計」などをタクシーの運行情報に取り入れ、AIで分析する。これにより、500mのメッシュに区切られたエリアごとの、30分後のタクシーの需要を予測する。

 AIタクシーの実証実験は2016年6月より、東京23区と武蔵野市、三鷹市で進められており、予測正解制度が92.9%に達したという。特に駅前や繁華街などの「高需要エリア」と、住宅地などの「低需要エリア」では高い予測精度を実現しているという。11月から12月にかけて実施された実証実験では、AIタクシーを導入した乗務員の売り上げが、東京無線の平均を49%上回るなど、上々な結果をもたらしたとのことだ。

 実証実験によって、高需要と低需要エリアの中間で、予測精度が低い傾向にある「中需要エリア」での予測精度を高めるなどの課題も見えてきているようだが、評価は上々のようだ。

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