いま脚光を浴びている人工知能。グーグルやマイクロソフト、フェイスブック、バイドゥ(百度)といった米中の大手IT企業が、この分野への投資を加速している。人工知能を使えば、人間には扱いきれない膨大なデータの中からビジネスに役立つ「意味」や「知識」を引き出せるからだ。

 今まで使い道がなかった「眠れる情報」を宝の山へと変えることができる——。

 そのことに気付いた先進企業が人工知能開発に猛烈な勢いで突き進んでいる。米中企業だけではない。日本企業も走り始めた。人間の脳を模倣した新技術「ディープラーニング」によって急速に実力を増した人工知能技術の最前線に迫る。

人工知能を制する者がビッグデータを制し、さらにはビジネスすら制する。大量のデータから「意味」を見い出す人工知能の開発に、数多くの企業がまい進している。鍵となっているのがディープラーニング(深層学習)だ。

 自動車の進行方向に人がいる。ドライバーは、「子供の背丈で、顔を道路に向けて歩いている」と把握し、スピードを緩めた──。人間なら、歩行者が大人か子供か、どちらを向いているか、どの方向に歩いているかを瞬時に理解できる。しかし、同じ作業をコンピュータで実行するのは容易でない。

 人工知能を使って、これを数年以内に実現すべく技術開発を進めているのが、デンソーの子会社であるデンソーアイティーラボラトリだ。2014年3月、リアルタイム画像認識システムのプロトタイプを公開した(図1)。

図1 デンソーアイティーラボラトリが開発中の画像認識システム
歩行者の身長や顔の向きをリアルタイムで判別
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 同システムは、車載カメラが撮影する動画を毎秒15~16回の頻度で分析。その場で「人の有無」や、その人の「頭頂部」「つま先」「体の中心線」「顔の向き」を素早く判別する。スマートフォン用のグラフィックス統合プロセッサである「NVDIA Tegra K1」で動作し、自動車への搭載も容易である。

 同社が狙うのは、自動運転車の実現だ。従来の画像認識システムは画像中の「人の有無」しか判別できなかった。開発中のシステムでは「人の顔の向き」まで分かる。歩行者が横断歩道をこれから渡るのか、渡り終わったのかまで判断できるので、歩行者の危険度をより正確に、かつ瞬時に判断できるようになる。

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