インターネットを利用して車や宿泊場所などの個人所有物を貸し借りする「シェアリングエコノミー」(共有型経済)。その最先端をいく米国では、自家用車を使って乗客を運ぶという「ライドシェア」事業を営む米Uberや米Lyft、米SideCarによって、サンフランシスコのタクシー会社が深刻な打撃を受けているという(関連記事:サンフランシスコでタクシー激減!ライドシェアUberとGoogleが目指すものは)。

 自家用車で乗客を運ぶことは、日本では「白タク」と呼ばれていて、もちろん違法行為だ。サンフランシスコ(カリフォルニア州)でも、当初は公共交通の規制機関がUberなどのライドシェア運営企業に対して業務停止命令を出し、罰金を科した。しかしその後、ドライバーの履歴チェックや指定された保証額の保険加入などを条件に、ライドシェア運営企業に営業を認めるという結論を下した。一定の条件の下、白タクが合法的になったのである。

Uberのスマホアプリ
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 ライドシェアは、乗客とドライバーの双方にとってメリットがあるという。乗客にとっては、スマホアプリなどを使って乗車位置を指定して車を呼ぶと、近くのドライバーがリクエストを受けてくれる。非常にカンタンで、料金もタクシーより安い。

 一方、ドライバーにとっては柔軟な勤務形態が可能で、収入もタクシー会社勤務よりも高いという(もちろん働き方によるが)。こうしたことにより、サンフランシスコではドライバーの大移動が起こっているのだ。

 なお、Uberは日本でも事業を展開しているが、当然のことながら自家用車を活用する「UberX」サービスは提供していない。

 シェアリングエコノミーは、利用者と提供者にとってなかなか魅力的な仕組みだ。しかしみんなハッピーかと言うと、実はそうとばかりは言えない。1カ月ほど前の記事だが、ニューヨーク・タイムズはUberやLyftのドライバーを務めている女性の過酷な日々をリポートしている(当該記事PC Onlineの関連記事)。

 同紙によると、シェアリングエコノミーでは、サービス提供側が突然料金を値下げしたり、マッチングのアルゴリズムを変更したりすることで、仕事のリクエストや収入が急に減ったりすることもあるのだという。シェアリングエコノミーにおいても、競争が激化すると賃金がどんどん低下していくことは当然の理屈だ。

 タクシーに関する規制の厳しい日本では、そう簡単に白タクが合法化することはないだろう。ただシェアリングエコノミーは、様々な分野で日本でも実現していく可能性が高い。新しい時代の働き方と評価するだけでなく、その影の部分にも目を向ける必要がある。