ここのところ農業とITに関する話題が多い(ITproまとめ:農業IT)。昨日もITproに次のようなニュースが掲載された。「富士通と旭酒造がITを活用した酒造好適米の生産拡大に着手」といった記事で、タイトルにITベンダーと酒造メーカーが並ぶこと自体とても新鮮だ。

 富士通は、以前から農業向けのクラウドサービス「Akisai」を提供しており、今回は「獺祭(だっさい)」で有名な旭酒造と共同で、日本酒の原料米である「山田錦」の生産拡大を目指すとしている。具体的には圃場に各種センサーやカメラを設置し、土壌の温度や水分などのデータ、育成状況の画像などを収集し、クラウド側に蓄積。それを分析して栽培に役立てる。

 国も農業のIT化を支援している。2014年度(平成26年度)、農林水産省は「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」に着手。低コストの生産技術を確立し、ITを活用した効率的な生産体制を構築することなどを目的に、農業法人と企業などが共同で取り組む実証事業に対して補助金を出している。

 この事業の連携プロジェクトに参画する企業名を挙げていくと、様々な業種の企業が農業に注目していることがよく分かる。コニカミノルタ、オリックス、小松製作所、トヨタ自動車、住友化学、IHIなどが名を連ねる。

 例えばトヨタ自動車は米生産農業法人向けの支援システム「豊作計画」を開発(関連記事:トヨタが農業クラウド、稲作ビッグデータを分析して“工程”管理)。愛知県および石川県の9つの農業法人と共同でコンソーシアム「米づくりカイゼンネットワーク」を立ち上げ、豊作計画の提供とともに、稲作の効率化、品質向上に向けた実証実験を進めている。

 農業のシステム化と言えば、これまで真っ先に名前が挙がるのは海外の企業だった。例えば施設園芸の温室制御システムで著名なオランダPrivaや、高度な灌漑システムでピンポイントの水やりを実現する点滴灌水で有名なイスラエルのNetafimなどだ。

 異業種の参入は時に思わぬ革新をもたらす。「農業界と経済界の連携」にはそうした狙いもあるのだろう。ちなみに冒頭の旭酒造が製造・販売を手掛ける「獺祭」は、海外でも人気の日本酒。もしかしたら数年後、農業分野で海外企業と肩を並べる日本企業が獺祭の後に続いているかもしれない。