国の次世代エネルギー・社会システム実証である北九州スマートコミュニティ創造事業では,2010年度から5年間の計画でマスタープランを作成し,各種デバイス・機器の開発,設備の構築,各種制度設計等を実施.そして,2012年度からは多段階のクリティカルピークプライシング(CPP)によりダイナミックに電力料金を変動させる,日本初の本格的ダイナミックプライシング社会実証の実証実験を開始.料金変動に対する需要家の行動変化によるピークカット効果の検証を行っている.今後,この検証された成果の精度を高めるとともに,時間の経過とともに発生するであろう慣れや飽きといったものをいかにしてカバーしていくのか,現在もこれらの新しい課題と向き合いながら,各種技術実証とともにこのダイナミックプライシングを中心としたデマンドレスポンス社会実証の実証実験に取り組んでいる.

1.はじめに

 国の次世代エネルギー・社会システム実証である北九州スマートコミュニティ創造事業は,1901年に日本初の近代高炉が火入れされた,まさに日本の近代産業発祥の地である北九州市八幡東区東田地区を実証フィールドとして,電力などのエネルギーを中心としながらも単なるエネルギーマネジメントシステムの範疇にとどまらず,ライフスタイル,ビジネススタイルまで含めた新しい“まちづくり”と位置づけてプロジェクトに取り組んでいる.

 本稿では,事業開始から間もなく4年を経過する実証事業の全体を,ダイナミックプライシングを始めとしたデマンドレスポンス実証実験の内容を中心に紹介する.

2.プロジェクトの経緯

 2010年1月,政府の成長戦略に位置づけられる日本型スマートグリッドの構築と海外展開を実現するための取り組みである次世代エネルギー・社会システム実証を行う地域を国が公募.全国約20の地域からの応募が寄せられる中,北九州市も「北九州スマートコミュニティ創造事業」として本事業の提案(応募)を実施した.

 同年4月,横浜市,豊田市,けいはんな(京都府)とともに選定を受け,同年8月に本事業のマスタープランを策定して国へ提出し,北九州市,新日鐵住金(株),日本アイ・ビー・エム(株),富士電機(株)を設立時幹事企業とした本事業の推進組織である北九州スマートコミュニティ創造協議会を設立し,本格的に事業をスタートした.

 実施期間は5年間で,2010年度に全体計画を策定し実証機器の開発に着手,翌2011年度には実証にかかわる制度設計を行うとともに実証設備の構築を実施した.

 そして,2011年度より3年間,これらの設備を活用して実証実験を実施している.

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