本稿では,昨今,注目度の高いUXに取り組む際に,その成果を高めるための設計品質目標を示す方法について紹介するとともに実践事例について解説する.UXの重要性が説かれる中,実際のサービスやプロダクトに導入するには,1980年代から脈々と受け継がれてきたユーザインタフェースデザイン設計,ユーザビリティ評価等の実践が欠かせない.さらにIoT時代が訪れ,あらゆるサービスやプロダクト製品はソフトウェア/システム開発なしに成立しないため,これからのビジネスには,ソフトウェア/システムにおけるヒューマンファクタ寄りの品質向上が重要となる.2014年,SQuaRE ISO 25000シリーズが規格化され,属人性に頼る現状のUI/UX開発手段をエンジニアリングとして扱えるよう整備された.SQuaREで提唱された「利用時の品質(品質測定のためのメトリクス含む)」を活用した設計品質向上への取り組みについて述べる.

1.はじめに

 ソフトウェア品質の最新動向として「SQuaRE☆1 ISO 25000シリーズ」の検討が2001年に始まり10年以上の歳月をかけようやく2014年に制定され,シリーズ規格の整備のための審議は現在も継続している.

 SQuaRE(図1)では,ソフトウェア/システム品質を包括的に扱えるよう,従来のISO 9126を中核とする国際規格群が再編,強化された「製品品質」と,新たに独立的に定義された「利用時の品質」とで構成されている.この「利用時の品質」は,これからの商品の売れる要因として重要であり,有効性,効率性,満足性,リスク回避性,利用状況網羅性の5つの副特性が,その構成要素となっている.これらの副特性は,1990年代に確立されたユーザビリティの定義に,機能安全の要素とUI/UX開発に必須のシナリオの要素を兼ね備えたものといってよい.

図1●SQuaRE ISO 25000 シリーズ
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 「利用時の品質」は実際の利用者が,実際に利用する環境下で,利用者が感じとる品質,と解説されている.したがって「製品品質」の各副特性が互いに影響し,とりわけヒューマンファクタに関する部分はユーザビリティノウハウを駆使して「製品品質:使用性」を検討することが大切である.

☆1 SQuaRE:Systems and software Quality Requirements and Evaluation, ISO/IEC 25000シリーズ,JIS X 25000シリーズの呼称.スクウェアと読む[1].

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