顧客の声の重要性は,どの企業でも認識されているものの,具体的取り組みについて試行錯誤している企業は少なくない.さらに,顧客と第一線で接しているコンタクトセンタが経営貢献をしている例も多くはない.本稿では,筆者らが企画した顧客対応体感型研修により,コンタクトセンタだけでなく,サービス担当部門の意識改革を行うことで,お客様が満足できるサービスに変えていくと同時に,コストセンタと位置付けられがちなコンタクトセンタが直接経営貢献できることを示す.加えて,経営層を巻き込むために,筆者らが取ったアプローチについても述べ,「お客様第一」が全社的に実行されるようになった経緯も説明する.直接経営貢献を実感できるようにした取り組みについて述べ,顧客対応体験させることの重要性について述べてみたい.

1.はじめに

1.1 実践されないお客様第一

 「お客様が一番である」「お客様の声は重要である」という言葉は,多くの会社で聞かれるフレーズである.確かに「お客様第一」(弊社ではお客様第一を「ユーザーファースト」と呼んでいるので,以下ユーザーファーストとする)という標語は,弊社をはじめとして,ほぼすべての企業で掲げられている.しかし,本当にユーザーファーストでコンタクトセンタや企業を運営できているだろうか? 企業内の施策,末端の企画まで見た場合,本当にユーザーファーストになっているだろうか? 実態を見てみると,お客様「を」満足させる取り組みばかりをしていることが多い.

 しかし,お客様「を」満足させる取り組みは,結局のところ,会社視点での取り組みであり,本当の意味では,お客様のための取り組みとはなっていない.ユーザーファーストであるためには,お客様自身「が」満足しなければならない.弊社も従前,コンタクトセンタに寄せられるお客様の声を集めるものの,サービス部門に定期的に報告するのみで,内容を十分分析してサービス自体を変更することまではできていなかった.正直に言えば,改善方法をサービス部門に提案しても対応してもらえないため,ある種の諦めを感じていたのかもしれない.

 そのため,顧客の声の収集や集計,報告が単なる一作業と化してしまっていた.その結果, サービス部門もサポート部門であるコンタクトセンタも「ユーザーファースト」という共通の目標を持っているにもかかわらず,サービス部門は「売上」に,サポート部門は「オペレーション」に意識が傾くこととなっていた(図1).

図1●「ユーザーファースト」の実態
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顧客対応体感型研修で
コンタクトセンタに
直接経営貢献する

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